2016 Fiscal Year Annual Research Report
上皮極性形成システム解明に向けたシステム構成因子の網羅的スクリーニング法の開発
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16H07014
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
本田 尚三 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (50778206)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 上皮細胞 / 上皮極性 / siRNA / ノックダウン / ZO-1 / 免疫蛍光染色 / 画像解析 / スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮細胞はシートを形成し生体の内側(生物的環境)と外側(外部環境)を区画整理し、生物的環境の恒常性を維持する。そのため上皮細胞は外側に面するアピカル面と内側に面するバソラテラル面でタンパク質の分布や機能が異なる極性を持つ。上皮極性は多細胞生物の生存にとって必須であり、その破綻はがんを含む様々な疾患の原因となる。しかしながら、現在まで様々な因子が同定されているが、網羅的な解析はされておらずその分子機構の包括的な理解はなされていない。 互いに接着しない上皮細胞であるR2/7では、ZO-1を染色すると細胞膜直下にリングのように観察される。それを指標にした極性の変化を鋭敏に捉えられる観察法と、siRNAライブラリー、及びハイスループットな画像解析を利用したスクーニング法を開発することによって上皮極性因子の網羅的同定を目指す。 まず、384穴プレートを用いて既知因子をノックダウンし、免疫蛍光染色を行い、細胞数、作用時間、染色の条件を決定した。免疫蛍光染色は1%PFA, 4%PFA, 10%TCA(氷上)による固定法を検討し、10%TCAが最適であった。R2/7の中には肥大したような細胞が観察されるので、それらを解析対象から除くために個々の細胞領域を認識する必要がある。そこで細胞質マーカーの一つであるGAPDHを同時に染色することで細胞領域の認識が可能になった。つづいて、ZO-1の変化を捉える画像解析法を検討した。ZO-1シグナルの面積を指標とし細胞数でノーマライズしたところ、極性異常に伴うZO-1の変化を数値として捉えることができた。さらに、GAPDHの染色像から細胞の辺縁部を規定し、辺縁部に重なるZO-1シグナルを指標とすると、その変化をより鋭敏に捉えることが可能になった。自動分注機によるノックダウン、免疫蛍光染色の検討を行い、siRNAライブラリーを用いたスクリーニングに進む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初はZO-1の囲む面積を指標にする予定であったが、ZO-1のリングは途切れることが多く画像解析によってそれを規定することは困難であった。よって、ZO-1のリングの面積を指標とすることにしたが、問題なくZO-1の変化を数値として捉えることができた。ノックダウン、免疫蛍光染色の条件も決定し、予定どおりsiRNAライブラリーを用いたスクリーニングを進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
siRNAライブラリーによるスクリーニングを行うにあたり、第一段階として自動分注機によるsiRNAノックダウンと免疫蛍光染色の条件検討を行う。方法確立後、約18,000遺伝子に対するノックダウンを施行し、免疫蛍光染色して画像をハイスループットに取得する。画像解析によってスクリーニングを行い、上皮極性候補因子を抽出する。新規候補因子に対して、2種類以上の配列の異なるsiRNAによってノックダウンを行い、再現性を確認する。全体のデータを解析することによって、上皮極性形成システムの包括的な理解を目指す。また、特徴的な新規候補因子に対して、免疫蛍光染色による局在解析やGFPなどの蛍光タンパク質によるライブイメージング、さらには生化学的な解析を進める。
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