2016 Fiscal Year Annual Research Report
シェーグレン症候群の病態に対する食事由来の脂質の影響:新規治療法の確立にむけて
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16H07017
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
四釜 洋介 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 口腔疾患研究部, 室長 (10588908)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | シェーグレン症候群 / 糖脂質代謝異常 / ドライマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は飽和脂肪酸がシェーグレン症候群の病態を増悪する可能性をin vivoで検討し、脂質異常症治療薬をシェーグレン症候群治療へ応用をするための礎となる基礎研究をおこなうことを目的としている。シェーグレン症候群モデルマウスおよびエストロゲン欠乏モデルであるOVXマウスを用い、血中飽和脂肪酸量を上昇させるために高脂肪食を負荷し、これによる唾液腺や涙腺の病態形成、および自己抗原、自己抗体産生に対する影響を解析する。当該年度の研究成果として i) 通常食を食べさせたマウスの唾液腺と比較し、高脂肪食を負荷したマウス唾液腺において lipocalin-2 (LCN-2)やserum amyloid A 3 (SAA3)など、リポカイン関連遺伝子発現の上昇を DNA マイクロアレイ法およびリアルタイムPCR法を用い確認した。ii) 同様の傾向を western blotting 法によりタンパクレベルでも確認した。iii) i) で用いた唾液腺を免疫組織化学染色法で解析したところ、上記タンパクは唾液腺上皮細胞および唾液腺間質細胞で発現上昇している事を明らかにした。iv) 高脂肪食負荷したマウスの顎下リンパ節(唾液腺の所属リンパ節)において、通常食群と比較し、自己免疫疾患の病態形成において重要な役割を果たすと考えられている制御性T細胞および濾胞性ヘルパーT細胞の細胞数が増加している事を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目的とするタンパクに対し特異的に反応する抗体の選別に時間がかかってしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画としては i)SSモデルマウスまたはコントロールマウスに、通常食または高脂肪食を食べさせ、血清中飽和脂肪酸量および自己抗体価を測定し、唾液腺と涙腺の組織学的解析、および唾液・涙液分泌量、唾液腺におけるcaspase-3活性化およびa-fodrinの断片化を調べる。ii)唾液腺・涙腺のリンパ球浸潤を伴う組織破壊を特徴としたSSは、閉経前後の女性を中心に発症する。SSの発症に女性ホルモンであるエストロゲンが関与していると考えられているため、エストロゲン欠乏モデルであるOVXマウスを用い、1)と同様の実験を行う。
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