2016 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカ都市のインフォーマル市街地における空間マネジメントの実態解明
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16H07024
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
小野 悠 愛媛大学, 防災情報研究センター, 助教 (70782986)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | ダカール / 都市計画 / インフォーマル市街地 |
Outline of Annual Research Achievements |
都市化が急速に進むアフリカでは都市人口の20~90%が正規の都市開発プロセスに則らずに形成されたインフォーマル市街地に居住し、その政策的対応が緊急の課題となっている。本研究は、都市空間を開発・管理運営する一連のプロセスを空間マネジメントと定義した上で、フランス型の都市計画制度を有するダカール(セネガル)を対象に、「インフォーマル市街地ではフォーマルな空間マネジメント、擬似フォーマルな空間マネジメント、擬似慣習的な空間マネジメントが相互補完的に機能している」という仮説を検証することを目的とする。 2016年度は、セネガル国ダカールの(1)都市計画関連制度の整理、(2)市街地の類型化について研究を進めた。 (1)については、文献調査により、ダカールの都市形成過程を整理した上で、その背景をなす都市計画関連制度を整理し、フォーマルな空間マネジメントの仕組みの把握を行った。また、インフォーマル市街地への政策的対応について通史的な整理を行った。 (2)については、地図データ統計資料を用いて、ダカールの土地利用、人口分布(人口分布、人口密度分布、人口増加率の分布)、基盤整備(道路網、上下水道網)について整理を行い、市街化動向を分析した。その上で、空間的特質、形成経緯、人口密度、住民の所得水準等の観点から市街地の類型化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、当初の計画通り順調に進んでいると考えている。ダカールの都市形成過程と市街化動向の整理を実施し、市街地を類型化したことで、インフォーマル市街地における空間マネジメント実態解明のための現地調査の準備が整ったと言える。しかし、現地研究協力者の都合で現地調査の実施が叶わなかったため、次年度に実施することとする。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度に実施したダカール市街地の類型化に基づき、事例地区を2地区とりあげて、空間マネジメント解明のための現地調査を実施する。 第一段階として、住民、住民リーダー、住民グループ、行政、有識者等へのインタビューを実施し、各事例地区の形成経緯、ガバナンスの仕組み、住民構成、土地所有者の属性、住民グループの活動について整理し、社会的状況について把握する。また、マッピングと測量を実施して、開発形態の把握を行う。 第二段階として、各事例地区の住民、住民リーダー、住民グループ等にインタビューを実施し、以下の項目について、誰が(主体)どのようなルールに基づいて(基盤となる制度あるいは規範)行っているのかを明らかにする。 ①土地所有の管理:敷地分割、土地取引、土地利用規制、土地に関するトラブルの解決方法の実態。②建築行為の管理:住宅の材料・プランや建設工事に対する許認可や規制、建築行為に関するトラブルの解決方法の実態。③公共空間の管理:広場、道路、商店街、水場などの公共空間の整備、管理運営、利用の実態。 最後にまとめとして、ダカールにおいてフォーマルな空間マネジメント、擬似フォーマルな空間マネジメント、擬似慣習的な空間マネジメントがどのように相互補完的に機能しているのか、あるいは機能していないのかを分析し、本研究の仮設の検証を行う。その上で、フォーマルな空間マネジメント、擬似フォーマルな空間マネジメント、擬似慣習的な空間マネジメントが相互補完的に機能する形での都市計画のあり方への提案を行う。
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