2017 Fiscal Year Annual Research Report
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16H07040
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
董 秋艶 九州大学, 人間環境学研究院, 助教 (50780087)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2019-03-31
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Keywords | 中国近代女子教育史 / 教育社会史 / 日中教育関係史 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者の研究課題は清末中国の近代女子教育の成立過程を明らかにすることである。博士論文では、女子教育の制度化過程における清末中国の中央政府と日本の教育界の間にあったヒトやモノの動きを明らかにした。本研究の課題は、清末中国の地方官民の活動に注目し、日本の教育界が清末中国の地方政府の官民に女子教育の情報を提供したことと、これに対する地方官民の受容に様子を明らかにすることである。 本年度は中国で日清戦争後、地方政府から派遣した日本学務視察の活動についての資・史料などを調査し、分析する計画であった。しかし、出産のため、その後のこの一年間は乳児の育児を優先せざるを得ず、海外に赴いての史・資料の収集は、実現できなかった。そのため、中国での史料調査は最終年度に計画し直し、今年度は日中国内にある資・史料や文献などの購入に変更した。 入手した書籍資・史料の中で、下田歌子の原作『家政学』、『家庭』を加え、清末中国に翻訳された書籍も入手した。博士論文でも指摘したように、清末中央政府が女子教育を普及する際、教科書は日本の女子教育者下田歌子の本ならば使用しでもよいと勧められた。また、1902年に地方政府官員安徽巡撫の王之春が派遣した李宗棠は、女学校に足を運んだほか、実践女学校の設立者下田歌子と2回面会し、女子教育に関する意見を交えたと記している。 このように、新たに入手した書籍史・資料から、次の課題「日本の女子教育に関する書籍がいかに中国へと流通したのか」が見えてきて、研究のさらなる展開へとつながったこともあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
子どもがまだ乳児であり、研究のために中国まで赴くことは困難であったので、中国への資・史料調査は計画の通りにはできなかった。ただし、史・資料を調査する過程で、清末当時の中国人が中国語で翻訳した日本人著作の女子教育に関する書籍資料をいくつか確認して入手し、現在整理している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、まずこれまで収集した史・資料を整理するとともに、中国で日清戦争後、地方政府から派遣した日本学務視察の活動についての資・史料などを調査し、分析する計画である。また、日本の女子教育に関する書籍がいかに中国へと流通したのか、という経路についても資・史料の収集を行う。学会発表及び論文投稿も行う予定である。
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