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2016 Fiscal Year Annual Research Report

双性イオン型求核触媒活性種を活用するエステル不斉塩基加水分解反応の開発

Research Project

Project/Area Number 16H07042
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

山本 英治  九州大学, 理学研究院, 助教 (70782944)

Project Period (FY) 2016-08-26 – 2018-03-31
Keywordsエステル加水分解 / 相間移動触媒 / 動的速度論分割 / アミノ酸エステル
Outline of Annual Research Achievements

28年度の研究では、新規四級アンモニウムアルコキシドの合成を検討したが、最終段階である三級アミンのアルキル化の段階が容易に進行せず、触媒合成が難航している。また、一部、新たに合成できた四級アンモニウムアルコキシドもあるが、アミノ酸エステルおよびエノールエステル類の不斉塩基加水分解反応では、触媒作用は示したものの、高い立体選択性の発現には至らなかった。

その一方で、関連するシンコナアルカロイド由来の相間移動触媒を用いたアミノ酸エステル類の不斉加水分解反応において、詳細な触媒および反応条件検討を行ったところ、N-ベンゾイル-tert-ロイシン由来のラセミ体アミノ酸エステルを基質とした際に、高収率かつ高立体選択的に不斉塩基加水分解が進行する系を見出した (最大97%収率、91% ee)。また、ほぼ反応が完結した状態でも目的成生物が高い光学純度で得られていることから、本反応系は、基質のラセミ化を伴いながら反応が進行する動的速度論分割型の反応であることがわかる。また、基質N上の保護基が立体選択性に与える影響を調べるため、N上の保護基として、ベンゾイル基の代わりにピバロイル基、Boc基を有する基質で反応の検討を行ったところ、Boc基を有する基質では立体選択性が大きく低下することがわかった。さらに、基質α位の置換基効果を確認するため、α位にメチル、ベンジル、イソプロピル、シクロヘキシル、フェニル基を有する基質を合成し、検討を行ったところ、立体障害が大きくなるほど高い選択性で反応が進行することが明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

28年度の研究では、アンモニウムアルコール触媒の合成については、合成の最終段階であるアルキル化反応が進行しづらく現在難航しているものの、関連するアミノ酸エステルの不斉塩基加水分解において、シンコナアルカロイド由来の不斉相間移動触媒を用いた系を最適化した結果、高収率かつ高立体選択的(最大97%、91%ee)に進行することを見出すことに成功している。また、本反応の基質窒素原子上の保護基、およびα位の置換基が反応性、立体選択性に与える影響についても検討し、N-ベンゾイル保護を有するアミノ酸エステルが最も高い選択性を与えることがわかった。また、α位の置換基としては、メチル、ベンジル、イソプロピル、フェニル、t-ブチル基を検討し、立体的に嵩高いほど高い選択性を与えることが明らかになった。また、触媒の構造として、シンコナアルカロイドのキヌクリジン窒素原子上にオルトシアノベンジル基を有するものが高い選択性を発現する。また、オルト位にシアノ基の代わりにフェニル基を有する触媒でも良好な選択性を示すが、その一方で2,6-ジシアノベンジル基を有する触媒では選択性が大きく低下することから、シアノ基の官能基としての性質よりもオルト位への置換基導入による立体的影響が選択性発現に関してより大きく寄与していることがわかる。また、アンモニウムアルコール触媒以外に、新たにホスホニウム-チオウレア二官能性相間移動触媒を合成し、エノールエステル類の不斉加水分解反応において良好な選択性を示すことがわかった。

Strategy for Future Research Activity

前年度の研究において、新規四級アンモニウムアルコキシドの合成を検討したが、最終段階である三級アミンのアルキル化の段階が容易に進行せず、合成が難航している。また、新たに合成できた触媒もあるが、エステルの不斉塩基加水分解反応における高い選択性の発現には至らなかった。その一方で、関連するシンコナアルカロイド由来の相間移動触媒を用いたアミノ酸エステル類の不斉加水分解を検討したところ高収率かつ高立体選択的に不斉塩基加水分解が進行する系を見出した。これらの経緯を踏まえ、本年度の研究計画を以下に示す。
【基質適用範囲の検討および反応機構解析についての取り組み】前年度の研究成果として、シンコナアルカロイド由来の四級アンモニウム塩を用いたα-キラルアミノ酸エステルの動的速度論分割型不斉加水分解反応において、高選択的に反応が進行する系を見出している(最大91% ee)。この触媒系における基質適用範囲を調べるため、様々なα-アルキル、アリールアミノ酸エステルを合成および反応検討を実施する。また、本反応の反応機構についての知見を得るため、光学活性な基質を用いた反応の検討および反応系中に生じる副生成物の同定を行う。
【ホスホニウム塩型相間移動触媒を用いた加水分解反応検討】
計画した四級アンモニウムアルコールの合成が難航しているため、別の触媒候補として、四級ホスホニウム塩/水素結合ドナー2官能性相間移動触媒についても合成し、不斉加水分解反応を検討する。基質としては、アミノ酸エステル類、アリールプロパン酸エステル類に加えて、エノールエステル類についても検討する。

  • Research Products

    (5 results)

All 2017 2016 Other

All Presentation (4 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] キラル相間移動触媒によるN-保護アミノ酸エステルの動的速度論型不斉塩基加水分解2017

    • Author(s)
      若藤空大・古館裕歩・山本英治・徳永 信
    • Organizer
      日本化学会第97春季年会
    • Place of Presentation
      神奈川県, 横浜市, 慶應義塾大学 日吉キャンパス
    • Year and Date
      2017-03-19 – 2017-03-19
  • [Presentation] Asymmetric Base Hydrolysis of 2-Arylpropanoic Acid Esters Catalyzed by Chiral Phase-Transfer Catalysts.2016

    • Author(s)
      Akiko Murakami, Eiji Yamamoto, Takuma Takehisa, Makoto Tokunaga
    • Organizer
      International Symposium on Catalysis and Fine Chemicals 2016
    • Place of Presentation
      Taipei, Taiwan
    • Year and Date
      2016-11-11 – 2016-11-11
  • [Presentation] シンコナアルカロイド由来四級アンモニウム塩触媒を用いたアミノ酸エステル類の不斉塩基加水分解反応2016

    • Author(s)
      古舘裕歩・樋谷祐貴・山本英治・徳永 信
    • Organizer
      第28回若手研究者のためのセミナー
    • Place of Presentation
      福岡県 福岡市, 九州大学
    • Year and Date
      2016-08-27 – 2016-08-27
  • [Presentation] チオウレア基を有するキラル四級ホスホニウム塩触媒を用いたエノールエステル類の加水分解的プロトン化反応2016

    • Author(s)
      手島 樂・樋谷祐貴・山本英治・徳永 信
    • Organizer
      第28回若手研究者のためのセミナー
    • Place of Presentation
      福岡県 福岡市, 九州大学
    • Year and Date
      2016-08-27 – 2016-08-27
  • [Remarks]

    • URL

      http://www.scc.kyushu-u.ac.jp/Hiheikou/

URL: 

Published: 2018-01-16  

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