2016 Fiscal Year Annual Research Report
葉毛はイネの生産性に寄与するのか?:葉毛出現メカニズムの解明とその環境応答
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16H07046
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
濱岡 範光 九州大学, 農学研究院, 助教 (40778669)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 葉毛 / 水利用効率 / イネ |
Outline of Annual Research Achievements |
野生イネ由来の近似同質イネ系統である葉毛系統について、葉毛の形態的特性を調査した結果、本系統の葉毛は小維管束上の表皮細胞であるmacro hairが伸長したことにより生じていると推察された。また葉毛系統の毛性は、籾等の他の器官では観察されず、葉身特異的なものであると考えられた。葉毛系統由来の後代集団を用いた連鎖解析から、イネ葉毛性に関わる単一の優性遺伝子を染色体6上にマッピングした。また葉毛系統を用いて光合成特性を調査した結果、葉毛によって蒸散速度が抑えられ、光合成水利用効率と葉温が高まることが明らかになった。葉毛発生の環境応答性については、生育温度の面から検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
葉身の表面構造の顕微鏡観察から、イネの葉毛に関する形態的特性が明らかになるとともに、この毛性は葉身特異的なものであることが確認された。また葉毛が光合成特性に影響し、特に水利用効率の向上に関わることが明らかになったことから、本形質が農業上の有用形質の一つとなりうることが示唆された。さらに葉毛性に関わる遺伝子がマッピングされたことから、本形質のDNAマーカー化を図ることでイネ育種に利用できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
葉毛性への関与が予想される候補遺伝子群については、リアルタイムPCRによる遺伝子発現解析を進め、次年度までに原因遺伝子を特定したいと考えている。また、イネの葉毛発生に関する生理学的基礎を明らかにするとともに、その環境応答メカニズムについて分子生物学の視点から考察する。
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