2016 Fiscal Year Annual Research Report
Enhancement of the osteoconductivity of carbonate apatite bone replacement by coating its surface with dicalcium phosphate dehydrate
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16H07064
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古賀 のり子 九州大学, 大学病院, 医員 (40778734)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 人工骨補填材 / 炭酸アパタイト / リン酸水素カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、炭酸アパタイトへのリン酸水素カルシウム被覆が骨伝導性に及ぼす機序を解析し、骨伝導性の飛躍的向上を図る。リン酸水素カルシウムからのCa2+とPO43-のイオン送達が骨芽細胞を活性化させ、その結果、著しく高い骨伝導性が発揮されるとの作業仮説を設定し、当該仮説を検証する。 平成28年度は炭酸アパタイト表面へのリン酸水素カルシウム被覆を行い、イオン送達を担うリン酸水素カルシウムの形成量の最適化を行った。炭酸アパタイト顆粒(直径: 100~200μm)を酸性リン酸カルシウム水溶液(0, 0.2, 0.4, 0.6, 0.8, 1.0mol/L)に浸漬し一定時間圧力をかけると、全ての炭酸アパタイト顆粒が硬化した。断面のμCT画像において、内部は顆粒と顆粒の間の隙間が連通しており連通多孔形態を保持していることが確認できた。断面の表面構造を観察した走査型電子顕微鏡画像においては、顆粒の表面に板状の析出物が認められ、酸性リン酸カルシウム水溶液の濃度が上昇するにつれ析出物が増加する傾向が認められた。得られた試料を粉末X線回折で組成分析を行った所、炭酸アパタイトの他にリン酸水素カルシウムが認められ、炭酸アパタイトの表面に認められた析出物はリン酸水素カルシウムであることがわかった。粉末X線回折の結果からリン酸水素カルシウム量を定量化すると、酸性リン酸カルシウム水溶液の濃度が上昇する程、リン酸水素カルシウムの析出量が6~10wt%程度と増加した。多孔体の機械的性質については、酸性リン酸カルシウム溶液の濃度が上昇する程リン酸水素カルシウムの析出量が増加するのに伴い、試料の気孔率は90%から85%程度まで減少し、圧縮強度については酸性リン酸カルシウム水溶液の濃度が上昇するほど圧縮強度が増加し、水溶液の濃度が0.6mol/L以上では1.8MPa程度で一定であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度に、高周波誘導結合プラズマ発光分光法によってリン酸水素カルシウム被覆炭酸アパタイトから溶出するCa2+、および、PO43-量を測定する予定であったが、イオンの溶出が急速におこるため、溶出量の経時的変化を追う事ができるよう適正な条件を探索している所である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、骨芽細胞様細胞を用いてリン酸水素カルシウム被覆炭酸アパタイト多孔体からのCa2+およびPO43-送達が骨芽細胞の活性化(初期接着、増殖、分化)に及ぼす影響を解析する。 さらに、実験動物を用いてリン酸水素カルシウム被覆炭酸アパタイト多孔体の組織親和性、骨伝導性、骨置換性等を病理組織学的に検索し、有用性を検証する。
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