2016 Fiscal Year Annual Research Report
古細菌(アーキア)を標的とした口腔内微生物の検出・同定と口腔内の健康との関連調査
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16H07068
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松見 理恵 九州大学, 歯学研究院, 助教 (90397597)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 古細菌 / アーキア / 口腔内微生物 / 歯肉縁下 / メタン菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまでに当研究室において口腔細菌叢の解析に用いられた口腔内の各部位(唾液、舌苔、歯肉縁上、歯肉縁下)由来のゲノムDNAを用いて古細菌(アーキア)の検出が可能か否かを検討した。(方法)歯科医院を訪れた歯周疾患を持つ21名より採取された口腔内各部位の検体から抽出されたゲノムDNAをPCR用の鋳型とした。また、古細菌検出用のPCRプライマーとして、1)古細菌16S rRNAの共通配列(5’-TCCAGGCCCTACGGG-3’および5’-YCCGGCGTTGAMTCCAATT-3’)、2)ヒト口腔内や腸内に存在が報告されている古細菌の一種であるメタン菌のマーカー遺伝子であるmethyl coenzyme-M reductase (mcrA)遺伝子の配列(5’-TTCATTGCRTAGTTWGGRTAGTT-3’および5’-GGTGGTGTMGGATTCACARTAYGCWACAGC-3’)を用いた。(結果)各DNAサンプルについてPCRを行った結果、古細菌16S rRNAの共通配列プライマーにおいてほとんどのサンプルについて予想されるサイズでのDNA断片が得られた。しかし、それらのDNA断片について塩基配列を決定した結果、細菌由来の配列であった。次にmcrA遺伝子の共通プライマーを用いて、歯肉縁下由来DNAについてPCRを実施し、21中5サンプルについてDNA断片の増幅が認めらた。塩基配列を決定したところ、メタン菌の一種であるMethaonobrevibacter oralisのmcrA遺伝子配列であることが判明した。一方、唾液、舌苔、歯肉縁上ではPCRによる検出がほぼ認められなかった。(結論)歯周疾患を持つ被験者21名中5名について、歯肉縁下プラーク由来のDNAより古細菌であるMethonobrevibacter oralisが検出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画は、主に1)口腔内検体用のゲノムDNAの調整方法の検討および古細菌検出用のプライマーの設計であり、これらについてはほぼ達成できた。また、2)検体の採取に関しても、現在、協力医院において実施中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度検討した方法を用いて、古細菌(アーキア)の検出が可能であることが確認できたので、これらの方法を基本として、さらに口腔疾患を持つ被験者および健常口腔を持つ被験者の検体の採取および解析を行い、古細菌と細菌との相互作用、古細菌と口腔および全身疾患との関連について調査を進める。
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