2016 Fiscal Year Annual Research Report
低炭素社会に向けたレアメタル国際依存リスクのホットスポットを検出するモデル開発
Project/Area Number |
16H07072
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
重富 陽介 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 助教 (30780358)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | レアメタル / グラビティモデル / 将来シナリオ / クリーンエネルギー / 低炭素社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
レアメタルおよびレアアースメタルは、パソコンや携帯電話等のハイテク産業に必須の元素としてよく知られている。これらの鉱物資源は経済的な側面だけでなく、地球温暖化対策に向けた今後のクリーンエネルギー技術の普及に不可欠な”critical metal”として、注目を集めている。例えば、クリティカルメタルに属するネオジムは、永久磁石として自動車や風力発電のモーターに用いられる。コバルトはリチウム二次電池の正極材料として電気自動車やハイブリッドカーに使用される。プラチナは自動車排ガスの浄化触媒や、電子材料として幅広く利用される金属である。一方でこれらの金属は資源偏在性が高く、さらに現状ではそのリサイクルも非常に困難であるため、今後のクリティカルメタルの安定供給の重要性はさらに高まっている。しかしながら、こうしたクリティカルメタルの貿易構造の因子について分析した事例はなく、こうした背景のもと、当該年度は計量経済学のグラビティモデルを基礎とするネオジム、コバルト、プラチナの国際フロー構造の推定を行った。具体的には貿易国間の一人あたりGDPや人口、距離のほか、自動車やインターネット、携帯電話の普及率、再生可能エネルギーの総エネルギー比率、採掘に関するダミー変数を組み込んだモデルを検証した。結果として、ネオジムおよびプラチナフローについてグラビティモデルとの整合が統計的に有意に見られ、特にネオジムについては決定係数が大きかった。また、モデル改善に向けて必要な要素について検討した。 さらに、当該年度では今後のシナリオアプローチとの関連性も踏まえ、日本の達成が義務付けられるパリ協定に基づく温室効果ガス削減目標に関する研究発表も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度において、一人あたりGDPや人口、距離のほか、自動車やインターネット、携帯電話の普及率、再生可能エネルギーの総エネルギー比率、採掘に関するダミー変数に基づくネオジム、コバルト、プラチナの貿易フローを推計するグラビティモデルの構築を行った。それらの変数の統計的有意性を検証した論文を査読付き国際学術誌Resourcecs Policyに投稿し、受理されたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は本モデルにおいて、さらなる変数の吟味とシナリオ予測の精緻化を行う。そのためには、モデルおよびレアメタル消費と関連する将来シナリオの構築が必須である。ここでは今後の低炭素社会構築の推進に伴うレアメタル需要の逼迫を考慮し、IPCCのRCP ScenariosやIEAのBLUE Map Scenarioを参考にしながら、2005年をベンチマークとする2050年までのレアメタル国際フローの推計値を提示する。また、推定結果と昨今注目を集める欧州Circular Economyの観点から、レアメタルの安定供給に重要な資源戦略の方策について検討する。さらに、パリ協定目標と日本のレアメタル利用のトレードオフの可能性についても検証する。
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[Journal Article] The role of primary processing in the supply risks of critical metals2017
Author(s)
Nansai, K., Nakajima, K., Suh, S., Kagawa, S., Kondo, Y., Takayanagi, W., Shigetomi, Y.
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Journal Title
Economic Systems Research
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] Supply risk assessments of low-carbon energy technologies with Hybrid LCA2016
Author(s)
Nansai, K., Suh, S., Nakajima, K., Kagawa, S., Kondo, Y., Shigetomi, Y.
Organizer
The 12th EcoBalance International Conference
Place of Presentation
京都テルサ(京都府京都市)
Year and Date
2016-10-03 – 2016-10-06
Int'l Joint Research