2016 Fiscal Year Annual Research Report
口腔がんに対する、がん抗原由来長鎖ペプチドを用いたがんペプチドワクチン療法の開発
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16H07082
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
平山 真敏 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (50779171)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 口腔癌 / がん免疫療法 / がんペプチワクチン療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞傷害性T細胞 (CTL) 誘導性短鎖ペプチドを用いたがんペプチドワクチン療法の臨床試験の際に標的となった腫瘍抗原である、IMP-3、DEPDC1、MPHOSPH1由来の新規長鎖ペプチドの同定を行った。長鎖ペプチドのアミノ酸配列の推定にはコンピューターアルゴリズムを利用した。その際、適応患者を考慮して日本人に発現頻度の高いHLAクラスII分子を標的とし、また長鎖ペプチドのアミノ酸配列内にCTLエピトープ配列を自然配列として内包させることで、CTLとヘルパーT (Th) 細胞の両者を誘導し得る可能性を持つ長鎖ペプチドを合成した。これらの長鎖ペプチドを用いて、in vitroで健常人由来の末梢血単核細胞(PBMC)を刺激し、ペプチド特異的なTh細胞の誘導を行った。ペプチド特異的なT細胞の解析には、IFN-γ ELISPOT解析およびテトラマー解析を用いた。その結果、合成した長鎖ペプチドに特異的なTh細胞の誘導を複数確認でき、これらのペプチドをTh細胞誘導性の長鎖ペプチドとして同定した。次に、CTLエピトープ配列を自然配列として含む長鎖ペプチドのクロスプレゼンテーション能をin vitro、およびin vivo で検証した。その結果、CTLエピトープ配列を自然配列として含む長鎖ペプチドによって、Th 細胞のみならずCTLも誘導できることをin vitroおよびin vivoの両者で確認できた。さらに、これらのTh細胞を特異的ペプチドで刺激しその培養上清をELISAで解析した結果、Th1サイトカインが優位に産生されていることが分かった。 次いで、これらの長鎖ペプチド特異的なTh 細胞のT細胞受容体 (TCR)を遺伝子解析した。その結果、ペプチド特異的に反応するTCRを同定することができた。 これらの研究成果を2016年10月に行われた日本口腔外科学会総会・学術集会、12月に行われた日本免疫学会総会・学術集会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理想的な腫瘍抗原である、IMP-3、DEPDC1、MPHOSPH1に由来するTh細胞誘導性の長鎖ペプチドを複数同定することができ、これらのペプチドのクロスプレゼンテーション能、TCR解析を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
近年、免疫チェックポイント阻害薬が大きな注目を浴びている。頭頸部癌においても、2017年3月に保険適応となった。今後は、ペプチドワクチン療法と免疫チェックポイント阻害療法の併用療法の有効性を検討したいと考えている。また、免疫チェックポイント阻害抗体の投与タイミングなどを調整し、最も抗腫瘍効果の高い併用療法のプロトコールを探索する予定である。さらに、ペプチドワクチン療法の治療効果予測に有効なバイオマーカーの同定を、患者血液中の血清を用いて行う予定である。
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[Journal Article] An oncofetal antigen, IMP-3-derived long peptides induce immune responses of both helper T cells and CTLs2016
Author(s)
Masatoshi Hirayama, Yusuke Tomita, Akira Yuno, Hirotake Tsukamoto, Satoru Senju, Yuya Imamura, Mohammad Abu Sayem, Atsushi Irie, Yoshihiro Yoshitake, Daiki Fukuma, Masanori Shinohara, Akinobu Hamada, Hirofumi Jono, Eiji Yuba, Kenji Kono, Koji Yoshida, Takuya Tsunoda, Hideki Nakayama and Yasuharu Nishimura
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Journal Title
OncoImmunology
Volume: 5:6
Pages: e1123368-1-14
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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