2016 Fiscal Year Annual Research Report
脳腸モデルと脳透明化法によるてんかん治療を応用した唾液分泌と嚥下の促進機序の解明
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16H07092
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
菅 真有 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (50779973)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 唾液分泌 / 嚥下 / 顎口腔機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、難治性てんかんの電気刺激法を応用し、内臓感覚の賦活化による唾液分泌と嚥下機能を促進する機序を解明することである。本課題では、内臓感覚を賦活化する物質がラットの唾液分泌や嚥下運動等の顎口腔機能に与える影響を検証した。さらに、左側迷走神経の中枢側断端に刺激電極を留置し、嚥下運動の際に活動する顎舌骨筋の筋電図を記録しながら、迷走神経連続電気刺激前後の唾液分泌量を測定した。また、迷走神経の電気刺激によって誘発された嚥下様運動が唾液分泌に与える影響を検証するため、筋弛緩薬を静脈内投与して不動化し同様の測定を実施した。また、顎下腺を支配する副交感神経節前線維が含まれる鼓索神経を切断して同様に実験した。その結果、以下の知見が得られた。 (1)内臓感覚を賦活化する物質の腹腔内投与によって、唾液分泌量は有意に増加した。さらに、内臓感覚を賦活化する物質の腹腔内投与によって、迷走神経求心性線維の活動が有意に上昇した。 (2)迷走神経の電気刺激によって、唾液分泌と嚥下様運動は刺激頻度に応じて有意に増加した。鼓索神経切断後、電気刺激によって唾液分泌は誘発されなかった。 (3)不動化し嚥下様運動を抑制した後も、迷走神経の電気刺激によって唾液分泌は誘発された。 以上のことから、内臓感覚が唾液分泌や嚥下機能等の顎口腔機能に関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
難治性てんかんの治療法である迷走神経の電気刺激療法を応用し、ラットを用いて内臓感覚と顎口腔機能の関係について検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はてんかん発作を擬似的に表現するために、カイニン酸を用いてラットのてんかんモデルを作成し、同様に唾液分泌や嚥下機能の記録を行い、てんかん発作が消失する最適な刺激頻度と局所脳波および唾液・嚥下運動の記録を行う。
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