2016 Fiscal Year Annual Research Report
The Neolithic dispersal in the Southern part of East China Sea
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16H07093
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
山極 海嗣 琉球大学, 戦略的研究プロジェクトセンター, 特命助教 (80781202)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 考古学 / 東シナ海南部地域 / 宮古・八重山諸島 / 台湾 / 新石器時代 / 先史時代 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、台湾と宮古・八重山諸島での考古学的な現地調査を通して、新石器時代/先史時代である約4,000年前頃の台湾-宮古・八重山諸島間の人の移動や、環境適応プロセスの解明にアプローチした。 調査の過程としては、当初の予定通り台湾(中華民国)及び宮古・八重山諸島において現地調査を実施した。台湾での調査においては、台湾大学の協力も得て、現地での研究シンポジウムに参加して情報収集を行うとともに、台北・台中・台東地域における考古学的な現地調査と文献資料の収集を実施し、分析資料も収集した。宮古・八重山諸島の調査においては、これまで未報告であった遺跡資料(浦底遺跡)を宮古島市教育委員会に協力して調査・分析することとなり、本遺跡資料の分析を中心として考古学的には新規性の高い成果を得るとともに、台湾のデータとの比較を行った。 また、台湾および宮古・八重山諸島で獲得した分析データを基に、琉球大学研究基盤センターや東北大学学際フロンティア研究所との共同で、理化学的な分析を導入した新しい研究手法を構築することに成功し、課題にアプローチして成果を得ることにも成功した。 本年度では研究成果の発表として、査読付き論文1報のアクセプトを獲得し、報告1報をパブリッシュした。また、口頭発表としては2016年8月の世界考古学会議(WAC8:京都府)、2017年3月の沖縄考古学会定例会(沖縄県)Society for American Archaeology(カナダ・バンクーバー)にて成果を発表した。 加えて、当初の計画では翌年度に実施する予定であった研究会を前倒しして開催し、琉球列島や東南アジアにおける考古学・人類学・分析化学の関係者を交えて台湾-宮古・八重山諸島間の人の移動について議論し、コンセンサスを形成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた調査を実施することができ、研究課題に必要な作業はおおむね順調に進展している。また、学内外との研究協力を得ることで新規的な手法を確立できたため、計画当初より分析における拡張性の高い研究が可能となった。調査・分析過程においても大きな問題は発生しておらず、論文や学会発表でも成果を公表することができており、当初の予定通り研究は進行している。 一方で、2016年の12月頃から入院や複数回の検査を必要とする疾病を発症したため、予定していた海外調査(台湾調査)の実施が困難となった。そのため、台湾調査を翌年度に繰り越して実施することとしたが、その反面、翌年度に予定していた研究会の開催を本年度に前倒しすることでバランスを取ることとし、時間的な余裕を確保した。そのため、全体的な研究に進行としては順調であると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の予定通り、2年目の作業を実施する。2年目では1年目に繰り越した台湾の調査を実施するが、代わりに研究会の開催を1回分前倒ししているので、2回を計画していた研究会の開催は1回のみ実施することとする。また、フィリピン地域の調査を予定しているが、フィリピン地域における治安や情勢の悪化に関する報道がなされているため、慎重に情報収集を行い、可能な範囲での現地調査を実施する。安全の確保が難しいようであれば、台湾や宮古・八重山諸島における調査を代わりに実施するなどの代替策も検討している。
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