2016 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of removal method of undifferentiated human iPS cells contained in differentiated cells.
Project/Area Number |
16H07094
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
中島 義基 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30593082)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 再生医学 / 移植・再生医療 / 発生・分化 / 細胞・組織 / バイオリアクター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、分化組織に混在する未分化iPS 細胞の除去を目的とする。始めに、未分化iPS 細胞のみで培養を行いiPS 細胞の除去効果を確認した手法と同じ方法を用いて、分化組織に混在する未分化iPS 細胞の除去を試みる 。 (1) HIF-1 α阻害剤の効果を調べた。HIF-1 α阻害剤は、ヒトiPS細胞に対する除去効果を持つ 。ヒトiPS細胞専用培地へHIF-1 α阻害剤を添加48時間後に未分化iPS細胞のコロニー面積は有意に減少した。ヒトiPS細胞に対する除去効果を持つ化合物(HIF-1 α阻害剤)を発見した。 (2) HIF-1 α阻害剤の作用を分化細胞に最適な培養条件下に調べた。ヒト角膜上皮細胞とヒトiPS細胞を混ぜて培養し、 HIF-1 α阻害剤の効果を調べた。ヒトiPS細胞単独と比べて約4倍の培地添加濃度にて、HIF-1 α阻害剤がヒトiPS細胞に対する除去効果を持つことが分かった(通常の細胞培養培地であるFBS10%含有DMEM培地に、ヒト角膜上皮細胞とヒトiPS細胞を混合培養し、HIF-1 α阻害剤を添加した。培養48時間後に未分化iPS細胞のコロニー面積は有意に減少した) 。HIF-1 α阻害剤はヒト角膜上皮細胞に最適な培養条件下においてもヒトiPS細胞に対する除去効果を持つことが分かった。 (3) 角膜上皮細胞を用いて細胞毒性を評価した。ヒト角膜上皮細胞に対するHIF-1 α阻害剤の細胞毒性を調べた(通常の細胞培養培地であるFBS10%含有DMEM培地に、HIF-1 α阻害剤を任意の濃度で添加しヒト角膜上皮細胞を培養した。培養48時間後に生細胞活性測定法であるWST-8アッセイを行うと、HIF-1 α阻害剤には高濃度でも生細胞活性の低下は無く、細胞毒性はみられなかった。→ HIF-1 α阻害剤に、ヒト角膜上皮細胞に対する細胞毒性は無いと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請ではヒトiPS細胞から心筋細胞、神経細胞、肝臓細胞、脂肪細胞、膵臓細胞を分化誘導し、その分化細胞の培養フラスコ内に残存する未分化なヒトiPS細胞の除去効果を検出する実験が計画されていた。しかし、分化誘導に必要となる試薬が高価である点、および、キットとして市販された分化誘導試薬よりもさらに新しい論文に記載された分化誘導方法が優れている点から、分化誘導実験の予算が不足する可能性が生じた。 そのため、本研究では限られた予算を無駄にしないために、 初年度はまずは申請者の実験環境において比較的入手の容易であったヒト角膜上皮細胞を用いた先行研究を行った。具体的には、未分化iPS 細胞のみで培養を行いiPS 細胞の除去効果を確認した薬剤( HIF-1 α阻害剤)を用いて、ヒト角膜上皮細胞に最適な培養条件下にフラスコ内に混合培養した未分化ヒトiPS細胞を除去する効果を調べた。その結果、未分化iPS 細胞のみで培養を行った条件に比べて4倍濃度の薬剤量が必要であることが分かった。又、同条件において、未分化ヒトiPS細胞の除去効果は確認された。次年度は予算が限られるため、外胚葉(神経細胞),中胚葉(心筋細胞)、および内胚葉(内胚葉細胞)に細胞種を限定し、当初の実験計画書に沿い実験を実施する予定である。すでに、外胚葉(神経細胞),中胚葉(心筋細胞)、および内胚葉(内胚葉細胞)への分化誘導試薬は初年度に購入済みであるため、資金面での問題は無いと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究成果により、分化細胞に最適な培養条件下にiPS 細胞の除去効果を発揮するためには、ヒトiPS 細胞に最適な培養条件下にiPS 細胞の除去効果を確認した薬剤( HIF-1 α阻害剤)を培地へ4 倍濃度添加する必要があることが分かった (この薬剤は4倍量を用いても毒性や副作用の報告は知られていない)。 研究予算が限られるため、次年度は、外胚葉(神経細胞),中胚葉(心筋細胞)、および内胚葉(内胚葉細胞)に細胞種を限定し、当初の実験計画書に沿い実験を実施する予定である。すでに、外胚葉(神経細胞),中胚葉(心筋細胞)、および内胚葉(内胚葉細胞)への分化誘導試薬は初年度に購入済みであるため、資金面での問題は無いと考えられる。
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