2016 Fiscal Year Annual Research Report
障害者相談支援事業所における地域生活支援に関する研究
Project/Area Number |
16H07111
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
相馬 大祐 福井県立大学, 看護福祉学部, 講師 (70533199)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 障害児者 / 相談支援 / 特定相談支援事業 / ケアマネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
社会福祉の供給体制においては、サービスの「決定」と「提供」が分離して構築され、この2つの過程をつなぐケアマネジメントを担う機関の重要性が増している。障害者のケアマネジメントを担う相談支援事業所は2012年にサービスの「提供過程」の支援を始めたばかりであり、支援の質の向上は喫緊の課題と言える。本研究は地域で生活する障害児者への支援として、「決定過程」「提供過程」の双方の支援を行っている相談支援事業所を対象に、その支援内容を明らかにすることを目的にした。また本研究は、①障害者の相談支援体制を率先して構築している、②相談支援従事者のネットワーク構築を先駆的に行っている、③人口規模に配慮するといった理由から、4県を対象地域に設定した。 平成28年度は相談支援事業所の「決定過程」に着目した質問紙調査を実施した。質問紙調査は事業所に関する調査票①とサービス等利用計画、継続サービス利用支援の事例に関する調査票②を作成し、1,167事業所に郵送配布し、郵送にて回収した。結果として、302事業所から回答があった(回収率25.9%)。また調査票②にてサービス等利用計画1,666事例、継続サービス利用支援2,204事例を収集した。 本研究の対象とした特定相談支援事業所は1人職場が多く、働く相談支援専門員が孤立しがちであるという指摘がされている。そこで、相談支援事業所のサポート体制と支援内容の関連に着目した。その結果、相談支援事業所間にて定期的な話し合いの場が年間12回ある事業所は、継続サービス利用支援時の変更が多い傾向にあった。またサービス等利用計画作成時のモニタリング期間は12ヶ月が少ない傾向にあった。このことから、定期的な話し合いの場といった相談支援事業所のサポート体制が構築されている地域の事業所においては、「決定過程」において画一的でない支援が行われていると推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に計画した4県の1,167特定相談支援事業所を対象にした質問紙調査を現地の相談支援専門員協会等の関係者の協力を得て、実施できたため、おおむね順調に進展していると言える。本調査の結果、定期的な話し合いの場といった相談支援事業所のサポート体制が構築されている地域の事業所においては、「決定過程」において画一的でない支援が行われていると推測された。 平成28年度はこの他に、質問紙調査に回答のあった事業所へ電話にて聞き取り調査を実施する予定であったが、相談支援事業所のサポート体制が構築されている地域の相談支援事業所は90事業所で、その内、画一的でない支援が確認された事業所は30事業所と少ない傾向にあった。そのため、平成29年度の訪問聞き取り調査にて対象事業所を増やして、対応する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は平成28年度にて明らかになった相談支援事業所のサポート体制が構築され、「決定過程」において画一的でない支援が行われていると推測される相談支援事業所を対象にした訪問聞き取り調査を実施する。具体的には相談支援事業所のサポート体制の具体的な内容、ユニークな取り組み事例等の情報を収集する。 次に、相談支援事業所の「提供過程」に関する調査を実施する。先行研究においては、制度に基づくサービスでは充足できない当事者ニーズへの対応の必要性が指摘されている。そのため、地域生活支援事業の相談支援を市町村から委託を受けている相談支援事業所を対象とした質問紙調査、聞き取り調査を実施する。本調査では制度に基づくサービス以外の支援内容を把握し、その内容を類型化するとともに、支援時の工夫等を明らかにする。 すべての調査については、4県の実践者と協議を繰り返しながら行う。また研究成果をまとめ、学会報告を行うとともに、自治体や相談支援事業所へはリーフレットを作成し、結果を周知する。
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