2016 Fiscal Year Annual Research Report
オンライン言語学習におけるタスク活動と第二言語習得の可能性
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16H07114
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Research Institution | Shizuoka University of Art and Culture |
Principal Investigator |
高瀬 奈美 静岡文化芸術大学, 英語・中国語教育センター, 特任講師 (20705199)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | CALL / 英語教育 / タスク活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究成果をL2 Performance in Text Chats、2016年5月全国語学教育学会国際大会PanSIG2016学会(沖縄)にて発表した。内容としては、オンラインチャットと対面活動における産出言語の総語数、語彙の多様性、語彙の長さを比較したものである。オンラインチャットでのタスク活動では、産出言語が話し言葉と書き言葉の両方の特徴を併せ持つことがわかった。オンラインチャットでの総語数は、対面活動と比較して有意な差がみられたものの、語彙の多様性に有意な差はみられなかった。正確性の研究(高瀬、2015)との関連づけてわかったことは、オンラインチャット内での産出言語は同じ単語を繰り返し使うものの(話し言葉の特徴)、高い正確性をもつこと(書き言葉の特徴)である。 また、「非同時型CMC」であるフォーラムと対面活動を比較した研究の成果は、How is doing online activities different from performing tasks face-to-face? 2017年3月Education and Development Conference(タイ)にて発表を行った。結果として、オンラインでのフォーラムを利用したタスク活動は、種類の違うタスクにも関わらず全てのタスクにおいて対面活動と比較して産出言語が多かった。しかし、正確性に関しては対面活動でのライティングの方が高い正確性を持つことがわかった。 新たに、平成28年度の調査を行った項目は、CMCがオーラルコミュニケーションの発達変化に及ぼす影響の検証である。その結果は、2017年5月全国語学教育学会国際大会PanSIG2016学会(秋田)にて発表予定である(審査通過済み)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた3つの検証、すなわち1)「非同時型CMC」であるフォーラムと対面活動を比較した検証、2)CMCがオーラルコミュニケーションの発達の変化に及ぼす影響の検証、3)CMCがライティングの発達の変化に及ぼす影響の検証のうち、1)「非同時型CMC」であるフォーラムと対面活動を比較した検証と2)CMCがオーラルコミュニケーションの発達の変化に及ぼす影響の検証が順調に進んでいる。さらに、本研究成果が口頭発表を通し広く公表され、計画通りに沿っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、CMCにおけるタスク活動のうち、スピーキングやライティングへの影響を解明するために3種類の検証を計画している。すなわち①「非同時型CMC」であるフォーラムと対面活動を比較した研究、②CMCがオーラルコミュニケーションの発達の変化に及ぼす影響を検証する研究、③CMCがライティングの発達の変化に及ぼす影響を検証する研究である。本年は③を行う予定である。
CMCとライティングへの変化を検証するためにオーラルコミュニケーション同様、事前テストのあと3種類のタスク(Interview, Narration, Decision Making)を行う。事後テストを行い、正確性や産出量、語彙の多様性、構文の複雑性の変化を明らかにする。結果をタスクごとにまとめ、オーラルコミュニケーションの発達の変化と比較しながら、CMCの特徴とタスク活動を考察する。昨年度までの結果をもとに、チャットやフォーラムで、タスク活動が与える対面活動へのスピーキングやライティングの技術の向上との関係性を明らかにし、最終的な目標を達成する予定である。
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