2016 Fiscal Year Annual Research Report
褐色脂肪細胞の化学誘導技術の開発と糖尿病の再生治療
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16H07122
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
小谷 晋一郎 京都府立医科大学, 医学部, プロジェクト研究員 (30783964)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 移植・再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
[Ⅰ]小分子化合物添加培養法の最適化 小分子化合物添加期間の検討。ヒト正常皮膚由来線維芽細胞を、小分子化合物を種々の濃度で種々の期間添加した培地中で培養し、real time RT-PCR法ならびに蛍光免疫染色法を用いてUCP1遺伝子mRNAおよびタンパク質の発現を評価し、比較を行った。その結果、最適な濃度と添加期間、培養期間を明らかにすることができた。さらに、種々の小分子化合物を添加して同様の培養を行い、評価と比較を行った。その結果、最も高いUCP1発現を誘導できる条件が分かった。また、誘導培地中の各成分についても、real time RT-PCR法による同様の検討を行い、最適な組成を決定した。 [Ⅱ]褐色脂肪特異的遺伝子群の発現および転換効率の評価 上記[Ⅰ]で求められた条件によって培養し、real time RT-PCR法を用いて、褐色脂肪細胞特異的遺伝子群(CIDEA、KCNK3、およびUCP1)のmRNA発現を評価した。その結果、培養された細胞は褐色脂肪特異的遺伝子群を発現していた。また、蛍光免疫染色法を用いて、UCP1の発現を可視化し、陽性細胞の割合の算出を行った。そこでこの化合物が線維芽細胞を褐色脂肪細胞に誘導するということが示され、褐色脂肪細胞への転換効率はおよそ70%であることが分かった。 以上の結果より、化合物添加培養による褐色脂肪細胞の誘導の効率を高めることに成功し、得られた褐色脂肪細胞の性状の一部が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小分子化合物を用いた褐色脂肪細胞への誘導方法の最適条件(培地成分、小分子化合物の種類、濃度、添加期間等)を決定した。また、褐色脂肪細胞特異的遺伝子群(CIDEA、KCNK3、UCP1等)の発現を確認し、褐色脂肪細胞へと誘導されていることを確かめた。さらに、転換効率の算出により多くの線維芽細胞が褐色脂肪細胞へと転換していることを示した。これらのことから、本研究は大変順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
呼吸機能評価、ゲノムワイドな遺伝子発現プロファイリング解析、エピゲノム解析等を行うとともに、小分子化合物による線維芽細胞から褐色脂肪細胞へのコンヴァージョンのメカニズムを解析する予定である。
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