2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Highly Electron-Accepting Diphosphene Ligands and Application to the Synthesis of Helical Molecules in Optically Active Form
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16H07126
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
津留崎 陽大 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40623848)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | ジホスフェン / 遷移金属 / 軸不斉 / 光学活性 / 1,1’-ビナフチル / リン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、π受容性が低いホスフィン配位子とは異なり、σ供与性・π受容性ともに高いジホスフェン(リン-リン二重結合)の性質に着目し、高活性な触媒反応を可能にするジホスフェン配位子の開発を行う。また不斉源を導入することで、高いエナンチオ選択性の実現も目指す。 本年度は、1,1’-ビナフチル置換ジホスフェン1の光学活性体の合成を検討した。すでに合成に成功しているジホスフェン1に対し、キラルカラムによる直接的な光学分割を検討したが、加水分解あるいは酸化により一部分解してしまった。そこで、安定な合成中間体であるホスホン酸エステル誘導体を光学分割した後に、ラセミ体と同様のジホスフェンへの変換反応を適用することにより両エナンチオマーを得た。これは、ジホスフェン誘導体における初めての光学活性体の例である。オクタン溶媒中で、得られたジホスフェン(R)-1を100 ℃、65 時間加熱しても(S)-1へと変化しなかったことから、ジホスフェン1の高いラセミ化障壁の存在が示唆された。また、両エナンチオマーの円二色性スペクトルを測定したところ、ジホスフェンに特徴的な400-500 nmの領域を含む全領域に、鏡像関係のスペクトルが得られた。TD-DFT計算によるシミュレーションを行ったところ、C(Naph)-P結合の自由回転による平均化されたスペクトルが観測されていることが分かった。さらに、ジホスフェン1の立体異性体間の異性化における遷移状態を構造最適化により明らかにした。C(Naph)-P結合軸まわりの回転による異性化のエネルギーは3.3 kcal mol-1と算出されたのに対し、ビナフチル基のC1-C1’結合軸まわりの回転によるR-S異性化のエネルギーは37.7 kcal mol-1と算出された。これらの値は実験結果を強く支持しているものであった。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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