2016 Fiscal Year Annual Research Report
超酸分子による無機デバイス材料表面への大気安定パッシベーション法の開拓
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16H07127
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
桐谷 乃輔 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80568030)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 分子無機ハイブリッド / ナノエレクトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、分子性材料を電子デバイスへ応用利用することを目指している。分子が有する安定性、溶液処理に基づく簡便性を利用することで、従来メートルスケールのチャンバ内において調整されていたデバイス表面処理方法に対して、簡便な溶液による処理方法論へ繋がると期待している。対象とする分子として、酸性能を有する超酸分子や電子の授受が可能な酸化還元活性な分子を用い、デバイス表面の電子状態を分子制御するための手法の開拓、分子によるパッシベーション法の開拓を目指して研究を進めている。
本年度は、装置の準備・立ち上げ、及び分子処理を行う無機デバイス構築を中心に研究を進めた。装置として、デバイスを作製する際に必要となる金属蒸着装置(電子線蒸着装置)を立ち上げた。また、表面の不純物を除き清浄化するための真空加熱炉を立ち上げる準備を行った。デバイス材料として、IV族材料を中心に据え、さらに二次元構造を有する無機材料についても表面の電子的相互作用の確立の観点から研究を進め、本研究が目的とする分子処理による無機電子デバイス材料の表面処理を試みた。具体的には、Geナノワイヤを用いて、溶液中への分散法を確立し、電界効果トランジスタの構築を行った。その結果、トランジスタとして動作が可能であることを見出しつつある。しかしながら、分子を処理したところ、現在のところナノワイヤが溶解してしまい、デバイス構造を維持するに至っていない。このことは、分子がナノワイヤ表面において化学反応を起こしていることを意味する。今後は、目的とするデバイス表面パッシベーションに向け、分子処理後のナノワイヤの維持が必要となると考えている。本年度は、分子の濃度、溶媒、温度を変え、まずは分子処理後にデバイスを維持し、さらにパッシベーションの効果を見出していく次第である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子処理を行う土台となるデバイス作製を行った。また、デバイスがトランジスタとして動作しうることが確認できた。以上のことから、2年度は分子処理方法の確立、及びそれがデバイスの動作に与える影響についての検討に注力できる。そのため、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は2つの軸から研究を進める。まずは、超酸分子処理後も維持しうる無機デバイスの作製を行う。そのための処理方法の条件出しなどを行う。もう一点は、表面の状態をモニタする手法を見出し、分子処理がデバイス構造に与える効果を評価する。
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Research Products
(2 results)