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2016 Fiscal Year Annual Research Report

医療の地域展開を含む地域ケアの成立条件に関する研究

Research Project

Project/Area Number 16H07138
Research InstitutionOnomichi City University

Principal Investigator

高間 沙織  尾道市立大学, 経済情報学部, 講師 (20782030)

Project Period (FY) 2016-08-26 – 2018-03-31
Keywords医師会 / 開業医 / 地域ケア
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、医療の地域展開を含む地域ケアの成立条件を広島県尾道市の事例から明らかにすることである。近年、様々な障害を抱える人々の地域での生活を支えるために地域ケアの成立が各地で目指されており、そのためには医療の地域展開も必要不可欠である。だが、従来日本では、医療は病医院を拠点に提供されるものであり,地域で提供するための仕組みの整備が円滑に進んでいるとは言い難い。一方,広島県尾道市では,医療が病医院から出向いて地域で展開される仕組みが成立している。そこで本研究は、広島県尾道市ではなぜ医療の地域展開を含む地域ケアが成立したのかを解明する作業に従事している。
本研究が対象とする地域ケアは「尾道市医師会方式」と呼ばれている。本研究はその成立条件を明らかにするために、文献・資料調査と聞き取り調査から、成立した地域の(1)周辺環境、(2)供給側と(3)需要側の関係性の変化を把握し、(4)どのように地域ケアが築かれたのかを歴史的に整理する戦略を採用している。平成28年度における進捗状況は以下の通りである。
(1)周辺環境:『統計おのみち』などから、地域の人口動態,疾病構造,就業構造などを把握した。(2)供給側:『尾道市医師会史』から尾道市医師会の特性を歴史的に理解した。加えて、「尾道市医師会方式」の成立に関わりの深い元医師会長の片山壽医師、その他開業医、看護師、薬剤師、社会福祉士、社会福祉協議会職員,民生委員などにも聞き取り調査を実施した。(3)需要側:「尾道市医師会方式」の特徴の一つであるケアカンファレンスを複数回参与観察し、患者本人や家族の地域ケアへの参画のあり方を把握した。(4)どのように地域ケアが築かれたのか:(2)供給側への聞き取り調査から、「尾道市医師会方式」成立までの過程を詳細に整理できる段階に達している。
以上から、平成28年度は概ね研究が順調に進捗したと評価できる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究は、①文献・資料調査、②聞き取り調査から、以下のように進展している。
①文献・資料調査:文献調査では、開業医や地域ケア、「尾道医師会方式」についての先行研究を整理し、本研究の意義を明確にすることができた。
資料調査では、『統計おのみち』から尾道市の医療・福祉施設の供給状況の歴史的変遷を把握できた。さらに、『尾道市医師会史』からは、尾道市医師会の会員である開業医が、明治期より自主的に勉強会を開催したり、大正期には全国に先駆けて医師会立の産婆看護婦養成所を創設するなどしていたことが判明した。その結果、尾道市医師会が地域独自の取り組みを主導するのは、今日の地域ケアの成立に限った話ではなく、旧時代から継承される医師会に備わる機能である可能性が浮上した。
②聞き取り調査:需要側である患者本人や家族に対する聞き取り調査は1件しかできなかった。一方、供給側の開業医、看護師、薬剤師、社会福祉士、社会福祉協議会職員、民生委員には、聞き取り調査を複数回実施できている。その結果、供給側の当事者である専門職たち自身が、「尾道市医師会方式」とは実のところ何を意味するのかを明確に定義できていないという実態が明らかになっている。今後、本研究が益々進展することで、「尾道市医師会方式」とは何かについて明確な定義を付与できると考えられる。
以上①、②から、本研究は概ね順調に進展していると認めることができる。

Strategy for Future Research Activity

先に述べたように、本研究は、文献・資料調査と聞き取り調査から、「尾道市医師会方式」が成立した地域の(1)周辺環境、(2)供給側と(3)需要側の関係性の変化を把握し、(4)どのように地域ケアが築かれたのかを歴史的に整理する戦略を採用している。今後は、(1)~(4)に関して、以下の作業を進めていく。
(1)周辺環境:『尾道市史』、『尾道市高齢者福祉計画』から、尾道市の医療、保健、福祉、介護などの政策の変遷を整理する。さらに、尾道市職員、行政保健師、地域包括支援センター職員などに聞き取り調査を実施する。(2)供給側:引き続き地域の開業医、病院専門職、消防団、警察、社会福祉協議会、民生委員などに聞き取り調査を実施する。(3)需要側:患者本人、家族に対して聞き取り調査を実施する。可能であれば「尾道市医師会方式」成立以前に、患者はどこでどのように処遇されていたのかが把握できる統計資料などを発掘する。(4)どのように地域ケアが築かれたのか:以上(1)~(3)で収集したデータをもとに「尾道市医師会方式」の成立過程を整理し、その成立条件を分析・抽出する。
以上、(1)~(4)の作業を総括し、論文にして公表していく。

  • Research Products

    (4 results)

All 2017 2016 Other

All Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results) Remarks (2 results)

  • [Presentation] Role of Medical Practitioners in Integrated Community Care Systems: Onomichi Case Study2017

    • Author(s)
      Saori Takama
    • Organizer
      UK-Japan Seminar on the Politics and Practices of ‘Low-Fertility and Ageing Population’ in Post-War Japan
    • Place of Presentation
      University of Manchester
    • Year and Date
      2017-01-28
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] Conditions for Establishing an Integrated Community Care System: Onomichi Case Study2016

    • Author(s)
      Saori Takama
    • Organizer
      Keio Young Scholars' Workshop on the History of Medicine, Disease, and the Body 2016
    • Place of Presentation
      Keio University
    • Year and Date
      2016-09-21
    • Int'l Joint Research
  • [Remarks] Keio Young Scholars' Workshop

    • URL

      https://www.youtube.com/watch?v=6rqTrNSJ3KE

  • [Remarks] UK-Japan Seminar

    • URL

      http://www.jsps.org/newsletter/JSPSNL_51.pdf#page=27

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Published: 2018-01-16  

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