2016 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌の転移、浸潤に関わるマイクロRNA発現の腫瘍内不均一性の検討
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16H07152
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
武藤 雄太 自治医科大学, 医学部, 臨床助教 (60782018)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 大腸癌 / マイクロRNA / 腫瘍内不均一性 |
Outline of Annual Research Achievements |
自治医科大学附属さいたま医療センターで採取した大腸癌切除標本のうち、転移を伴う大腸癌の検体を選択し、正常大腸粘膜、大腸癌部については粘膜側、中心、漿膜側のそれぞれからmicroRNAを抽出した。microRNA用のcancer panel(Cancer Focus microRNA PCR Panel(Exiqon社))を用い、癌に関与する84種類のmicroRNAの測定を行った。そのうち、27個のmicroRNAの発現で腫瘍内不均一性を認めた。特に注目した結果は、大腸癌においてtumor suppressor microRNA(がん抑制型microRNA)と考えられているmiR-34aの発現は粘膜側、中心部では同一患者の正常大腸粘膜の発現と同程度であったものの、漿膜側では1/2-1/3程度の発現になっていることが確認できたことであった。以前、われわれが報告したmRNA発現と同様に、microRNAの発現においても、癌の漿膜側から検体を採取することで癌の浸潤能、転移能を正しく反映した結果が得られることを示唆していると考えられた。また、同一患者の血液検体から採取したmicroRNAに対してもcancer panelを用いた測定を行っており、組織と血液のmicroRNA発現プロファイルを比較した。その結果、組織漿膜側のプロファイルの方がより血液の発現プロファイルに近いことが判明した。癌の漿膜側での検体を用いることで血液中に移行する癌細胞の状態をとらえることができると考えられた。上記実験に加え、転移を有さない大腸癌の検体でも大腸癌部の中心部と漿膜側のmicroRNA発現をcancer panelを用いて測定し比較した。36個のmicroRNAの発現に差を認め、現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Cancer panelの実験の際に用いる予定だった抽出済みRNAが分解されてしまっていたため、検体からmicroRNA測定用のRNAを再度抽出し、品質確認を行ったため時間を要した。また、当初、血液検体の解析の際に非担癌患者の血液検体から抽出したmicroRNAをコントロールとして用いたが、性別、年齢に差があったため、より今回の実験の対象患者に近いプロファイルのコントロール用microRNAを準備した。これらの理由により、当初計画よりも進捗がやや遅くなってしまった。RNA再抽出、コントロール用血漿microRNA採取後は概ね予定通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
実験手法、解析手法については確立されてきているので、これまでよりもスムーズに行うことができると考えている。検体採取においては、自治医科大学さいたま医療センターに所属する臨床医や大学院生のより一層の協力を要請する。
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