2016 Fiscal Year Annual Research Report
運動トレーニングが二重課題遂行中の皮質脊髄路の興奮性に及ぼす影響
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16H07158
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Research Institution | Seiwa University |
Principal Investigator |
福本 寛之 清和大学, 法学部, 助教 (00779308)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 皮質脊髄路興奮性 / 皮質抑制性 / 二重課題法 / 経頭蓋磁気刺激法(TMS) / 運動誘発電位(MEP) / 長期運動経験 |
Outline of Annual Research Achievements |
随意運動の発現に関わる、一次運動野(M1)や皮質脊髄路は柔軟な可塑性を有することが近年報告されているが、これまでに運動トレーニングが二重課題遂行時の皮質脊髄路に及ぼす影響について検討したものも見当たらない。本年度は、長期的な運動競技経験が二重課題遂行時の皮質脊髄路の興奮性に与える影響について明らかにすることが目的であった。 実験には一般成人(一般群)と長期運動競技者(アスリート群)に参加してもらった。参加者には、安静座位状態で1)10%および30%MVCのターゲットラインにハンドグリップの力発揮を15秒間保持させる課題(ST条件)、2)1)の課題と同時に計算課題を遂行する課題(DT条件)を行ってもらった。それぞれの課題において、皮質脊髄路の興奮性ならびに抑制性についてMEPとCSPを指標として調べた。 その結果、アスリート群は,筋力発揮の大きさに関係なく一般群よりdual task interferenceの程度が小さかった。またアスリート群のCSP durationは筋力発揮の大きさならびに課題に関係なく一般群より有意に延長した。一方で、アスリート群はと一般群のCSPに関するdual task interferenceの程度の差はなかった。 以上のことから、長期的な運動トレーニングによって、二重課題遂行中の一次課題である運動課題へのdual task interferenceの程度は小さくなり、M1を含む脊髄上位レベルで可塑的変化が生じていることが示唆された。また二重課題遂行中の皮質抑制性の変化の程度は長期的な運動トレーニングによって影響を受けないが、大脳皮質ニューロンの興奮と抑制のバランスが群間で異なる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の計画の実験は概ね順調に進んでいる。現在も実験を重ねている状況ではあるが、全体の結果がそろいはじめている。そのため学会誌に投稿する準備を進める段階に至っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、一般健康成人に短期間の二重課題トレーニングを行ってもらい、短期間のトレーニングが二重課題遂行中の皮質脊髄路の興奮性ならびに皮質抑制性に及ぼす影響を検討する。 実験は、一般健康成人15名を対象に行う予定である。参加者には2週間のうち計5回実験室に来室してもらい、参加者は1回の来室でRest条件とCalc条件、ST条件ならびにDT条件をランダムに行う。実験参加者には2週間で計5回上記の課題行ってもらうが、実験日と実験日の間は1日~2日の間隔を空けて行う。そして上述の運動トレーニングに伴うMEPならびにCSPの変化を測定する。 来年度は最終年度になるため、その結果を学会発表や学会誌などに公表する予定である。
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