2016 Fiscal Year Annual Research Report
暗号通貨Bitcoinにおいて犯罪に使用される取引の検知手法に関する研究
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16H07168
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
豊田 健太郎 慶應義塾大学, 理工学研究科(矢上), 特任助教 (60723476)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | Fintech / Bitcoin / 犯罪検知 / データ・マイニング |
Outline of Annual Research Achievements |
Bitcoin をはじめとする仮想通貨は送金のためのトランザクションに本人認証を必要としないため,マネーロンダリングや不当に高い利率を謳った高収益投資プログラム HYIP (High Yield Investment Programs) などに悪用される事例が報告されている.そこでBitcoin のトランザクションから特徴を抽出し,それがどのような目的に使用されているのかを特定することは極めて重要である.本稿では最も代表的な詐欺行為であるHYIPに注目し,HYIPに関連したBitcoin アドレスを識別できるかを検討する.そのために,まずHYIPに関連したBitcoin アドレスを調査し,どのような特徴量を算出すべきかを明らかにする.その結果を踏まえ,トランザクションのフローおよび送受されるBitcoinの額の大きさおよび方向を考慮した特徴量抽出手法および識別手法を提案し,実際の取引履歴を元にしたデータセットに対して約86%の識別率を得られることを明らかにした.
さらに,上記の研究を遂行するうちに,ブロックチェーン技術を応用することで偽物商品の混入を防止する手法に適用できる可能性があることがわかった.そこで,提案方式では,商品の所有権管理をブロックチェーン上で行うことで商品の唯一性を保証し,ポスト・サプライチェーンにおいても偽物商品の検知が可能なシステムの実現を目的とする.提案方式のプロトタイプをブロックチェーンを用いた分散アプリケーションプラットフォームのEthereum に実装し,その有効性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通りに成果を得られており,おおむね順調に進展している.より具体的には,Bitcoinのトランザクションのフローおよび送受されるBitcoinの額の大きさおよび方向を考慮した特徴量抽出手法および識別手法を提案し,実際の取引履歴を元にしたデータセットに対して約86%の識別率を得られることが明らかになった.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に基き,研究を遂行する.その際,一定の研究成果が得られた場合は適宜,国内研究会,国際会議,ならびに学術論文誌に投稿を行う.
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