2016 Fiscal Year Annual Research Report
共生の観点からみる在韓日本人の宗教的コミュニティに関する調査研究
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16H07210
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
李 賢京 東海大学, 文学部, 講師 (80584333)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 在韓日本人 / 在韓日本人コミュニティ / 宗教的コミュニティ / 多文化共生 / 宗教 / トランスナショナル・ネットワーク / 日韓 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、韓国社会との共生関係を構築しようとする在韓日本人の宗教的コミュニティを対象に、日韓両国側の立場から、①宗教的コミュニティの位置づけを捉える実態調査(参与観察、メンバーへの聞き取り調査)と、②社会的背景(在韓日本人の移住史・日韓の歴史)への検討といった両面から取り組む。その際、既存の日本人コミュニティと比較検討を行い、在韓日本人コミュニティ研究への更なる知見の提供だけでなく、 現代在外日本人コミュニティの現状についての統合的な視点を提供することを目的とする。2年計画の第1年次にあたる本年度は、資料収集と参与観察、聞き取り調査を実施し、基礎データの蓄積と次年度の研究方針の明確化に努めた。 (1) 韓国における日本人団体の一覧を作成し、先行研究と関連資料(新聞記事やブログ等)の収集に努めた。ソウル、釜山において在韓日本人が多く居住する地域を中心に、宗教を基盤とするコミュニティの歴史や現状などについて関連資料を収集した。 (2)調査可能な日本人団体および宗教的コミュニティを選出し、調査を依頼した。承諾を得た団体の代表者および関係者等に当団体の歴史や代表者(関係者)の特性、メンバーの属性等について聞き取り調査を行い、対象団体の実態の把握に努めた。 (3)収集資料の確認整理とともに、録音データのテキスト化作業を行った。また、信者への聞き取り調査を円滑に実施できるよう、継続的に参与観察を行った。 (4)宗教的コミュニティのメンバーに半構造化した調査票を用いた聞き取り調査を行った。当団体への入会経路・背景について聞いた。その際、韓国への移住動機や移住後の経験、韓国人・韓国社会との関係性、日本での出身、学歴、家族などの分析視点を視野に入れ、事例を積み重ね、宗教的コミュニティの特色の析出に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、在韓日本人の宗教的コミュニティと既存の日本人コミュニティとの比較検討を通して、現代在韓日本人コミュニティの現状についての統合的な視点を提供することを目指している。日本人教会やカトリックミサグループなど、宗教的コミュニティに対する調査は当初の計画通り進んでいるが、近年の日韓関係の悪化により、日本人会をはじめとする宗教を基盤としない日本人団体への調査依頼を行ったものの、承諾を得ることができず、当初計画より遅れてしまった。今後、調査可能な日本人団体探すことが急務である。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度に申請者が加入している学会や研究会で報告し、参加者からのコメントを随時集約しながら、調査結果の検討を行う予定である。そこで得られたコメントを検討し、不足している点や不明確な点に関しては、自由面接調査を重ね、データを補う。また、やや遅れていた日本人団体への調査と資料収集を重点的に行いたい。その後、データの整理および分析を実施する予定である。
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