2016 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞から骨細胞への分化過程を制御する遺伝子群の機能的解析
Project/Area Number |
16H07216
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
鈴木 瑛一 東京歯科大学, 歯学部, レジデント (50778503)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 骨細胞 / 遺伝子改変マウス / DNAマイクロアレイ / 骨芽細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,Cre/loxP 発現制御システムを利用した遺伝子改変マウスを利用して,骨細胞特異的にEGFPを発現させたマウスを用いることにより,骨細胞において特異的に発現する遺伝子の解明を目指す。 本年度は主に骨細胞特異型 EGFP 発現マウスの作成を行い、遺伝子改変マウスより骨髄間葉系幹細胞 (BMSC) の採取ならびに骨細胞様細胞への分化誘導を行った。 BMSCは骨分化誘導後2週間で培養細胞の一部にEGFPの発現を認めた。EGFP陰性細胞と比較して,EGFP陽性細胞では骨分化マーカーであるAlkaline Phosphatase, OsteocalcinのmRNA発現量の有意な亢進が認められた。EGFPを誘発するDmp1のmRNA発現は,EGFP陽性細胞でのみ認められ,陰性細胞では認められなかった。DNAマイクロアレイよりBmp8b, Pdgfcといった遺伝子群,smad5などの転写因子において有意な発現変動が認められた。骨細胞への分化には,これら変動遺伝子群の関与が示唆された。 iPS細胞に関しては,遺伝子改変マウス由来の線維芽細胞に対しOct3/4, Sox2, Klf4, c-Mycの4遺伝子を導入し,iPS細胞様の形態をもつコロニーを確認した。現在PCR法による未分化性の確認と,奇形腫の形成による多能性の確認を行っている。 遺伝子改変マウスの使用により,骨細胞への分化に関与する遺伝子群の候補が示された。今後はsiRNAによる目的遺伝子のサイレンシングを行い,さらなる機能解析に努める。本研究の結果は,歯槽骨をはじめとする硬組織への分化制御機構の解明につながるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調であるが,遺伝子改変マウスの出産,交配のタイミングならびに骨髄間葉系幹細胞の骨系細胞への分化誘導における培地選択並びに細胞採取の技術などに時間を要した。 現在では継続的に遺伝子改変マウスの作成を行っており、骨分化誘導も安定して行えるようになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在DNAマイクロアレイによる遺伝子解析により,骨分化へ関与していると考えられるいくつかの候補遺伝子が挙げられた。今後はReal-time PCR等によりさらに候補遺伝子を絞り,詳細な役割について検討していく。 具体的には,候補遺伝子を絞った後,siRNAによる目的遺伝子のサイレンシングを行う。標的遺伝子においてそれぞれsiRNAの合成を行い,siRNA導入用試薬を用いてBMSCにトランスフェクションを行う。その後同様に骨分化誘導を行う。標的遺伝子のノックダウンにより,骨分化へ与える影響を解析,評価する。評価方法としてはEGFP発現量の視覚的観察に加え,アルカリフォスファターゼ (ALP) 染色,アリザリンレッド染色,Real-time PCR法による骨分化マーカーの遺伝子発現量の比較検討を行う。 その後遺伝子改変マウスからiPS細胞を樹立し,同様の解析を行う。その結果により,既存の未分化細胞のみならず,iPS細胞においての分化メカニズムの解明にもつながると考えられる。
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