2016 Fiscal Year Annual Research Report
PBL導入教材としてのマンガケース教材の課題設計手法の開発
Project/Area Number |
16H07225
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
高橋 聡 東京理科大学, 経営学部経営学科, 助教 (80630897)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | マンガケース / ケースメソッド / problem based learning / project based learning |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,PBL 導入教材として,マンガケース教材を適用するための課題設計手法の開発を目的とする.本年度では,まずマンガケース教材により,学習者が具体的にどのような学習を行うのかを明らかにすることを目的とし,以下の成果を得た. 1)ビジネスリーダーシップを題材としたマンガケース教材を使用した実験を行い,ビジネスの熟達者と初心者に関する比較実験を行った.これにより.熟達者は現場経験という学習によって学んでいる分だけ,さらによく学べるようになっているという結果が得られた.これは,リーダーとして,直接的行動を見るだけではなく,周囲の行動がリーダーの行動の結果から引き起こされるということを理解し,指摘できるようになるには熟達を要するという経験則にも合致した結果である. 2)初学者を対象として,マンガケース教材を通して,どのような協調学習が発生するのかを明らかにする実験を行った.この結果から,マンガケース教材による学習が三種類に分類できることが分かった(学習区分①自身の視点への理解を深める学習.学習区分②他者の視点を理解し拡張する学習.学習区分③新たな視点を生み出す学習.)また,初学者には概念モデルが変化する学び(学習区分③)を行うことが現実的に難しく,自己の持っている概念から学びを拡張するか(学習区分①),あるいは,他人の意見の中で受け入れられるものを取り入れているレベル(学習区分②)の学習で留まっていることがわかった.さらに初学者同士のグループ学習では,学習区分①,②,③の順に,学びとることができる学習者が少なくなっていることが分かった.さらに,プレテストの結果から,学習者の学習量や到達可能な学習区分を予想できる可能性があることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
設問設計の前に学習効果を分析する作業を行ったため,進捗に若干の遅れが発生している.しかしながら,既存に設計した設問の整理作業が進んでおり,すぐに実験に取り掛かれる状態である.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,学習者の様々なスキルを選択的に育成できるような設問セットの作成を行う.具体的には,これまでに作成したマンガケース教材の課題の整理を行い,それらとPBL での育成スキルとの対応付けを行う.そして,課題を適宜組合せ,目的とする育成スキルの学習を引き起こすための課題セット群を構築する.さらに,課題セットが意図したスキルの学びを引き起こせているかの確認実験を行い,結果に基づいて,課題セットの改善を行う. また,今年度は最終年度であるため,上記成果を取りまとめ,成果発表を行う.具体的には,科学教育研究への論文を投稿し,国内へ成果展開を行う.さらに,The 47th Annual Frontiers in Education (FIE) Conferenceにて,発表を行い,海外向けの成果展開を行う.
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