2016 Fiscal Year Annual Research Report
消費者行動におけるeクチコミの影響:eクチコミの正負の強度を中心として
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16H07242
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
菊盛 真衣 東洋大学, 経営学部, 助教 (20778948)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | eクチコミ / 消費者 / 製品評価 / 正負の符号 |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトにとって初年度にあたる本年度においては、本プロジェクトのテーマである「eクチコミの影響」の検討に際して、資料・文献収集、情報収集、および多変量解析を行った。さらに、予備的な論文やテーマに直接的に関係する論文を執筆し学会発表を行うことによって、学術と実務の両面から的確なフィードバックを得ることに成功し、残されたプロジェクト期間の方針を設定することができた。 まず、eクチコミの影響の中で、正負強度の影響を正負の符号の多様な影響と別に抽出して測定するために、それぞれの概念の精緻化を試みると同時に、eクチコミおよびその符号が消費者行動に与える影響を検討した。それに伴って、初年度ではあるものの、論文の形としてまとめることに注力し、欧州マーケティング・アカデミーや世界マーケティング会議といった国際学会に投稿し、査読を通過して学会での報告を行った。主たる主張は、ネガティブな内容のeクチコミが消費者行動に好ましい帰結をもたらすということであり、この逆説的な符号の効果に関しては学会から高く評価され、大きな反響を得ることができた。 また、これまでのeクチコミ研究の蓄積を整理・要約するとともに、正/負のeクチコミが消費者行動に与える影響を経験的に検討した複数の実証論文を体系化したことで博士学位を取得した。さらに、英語でも論文をまとめ、韓国で毎年開催される国際学会KSMSに投稿し、査読を通過して学会報告を行い、結果としてDoctoral Dissertation Competition Award, Excellence Award(優秀博士論文賞)を受賞した。 学会報告を行うことによって、本プロジェクトを推進する上での幾つかの改善点を発見することもでき、次年度に繋がる前進を収めたと見なせる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクトの申請時、1年目の計画は、ポジティブあるいはネガティブなeクチコミが持つ正/負の符号の強度を測定するための尺度を開発し、それを用いることによってeクチコミの影響を検討・測定することであった。この計画に準じて、前項で報告したように、正と負のeクチコミの影響に関する先行研究を整理したうえで、概念の精緻化に取り組んだ。そして、仮説を立て、実験室実験を実施して消費者データを収集した。この定量データを統計解析し、その分析結果を論文にまとめ、さらには学会において報告するに至った。報告した各学会において、論文の内容は一定の評価を得ることができたことから、本プロジェクトはおおむね順調に進展していると判断されるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
本プロジェクトは、1年目の計画通りにおおむね順調に進展しており、既に一定の成果を挙げている。したがって、今後も同様のペースで研究活動を実施し、研究成果を挙げていきたい。具体的に、2年目の研究計画として、eクチコミが消費者行動に与える影響に対する発信者特性の効果を検討・分析に取り組む予定である。この研究では、eクチコミの正負の符号とその強度、および発信者の信憑性や専門性といった特性に注目し、それらが消費者の製品評価にいかなる交互効果をもたらすのかを分析する。その際の取り組みとして、まずeクチコミの影響を調整しうる要因としての発信者特性の役割に対して十分な理解を得る必要があるため、先行研究の入念なレビューを行う。次に、実験室実験を行うことによって消費者データを収集し、統計解析を実施する予定である。
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