2016 Fiscal Year Annual Research Report
患者および家族のQOL変化から見た在宅歯科医療のエビデンス構築
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16H07250
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
古屋 裕康 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (60779924)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 在宅療養 / 在宅歯科医療ガイドライン / 経口摂取 / 摂食嚥下障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、一般の在宅要介護高齢者を対象としたもの、摂食嚥下機能障害を対象としたものにおいて研究開始当初より患者の登録を行い、基礎情報収集後、順次介入を進め予後調査を行った。摂食嚥下機能障害患者においては、在宅の経管栄養患者の経口摂取再開の条件について検討を行った。 対象は在宅療養中の摂食嚥下障害患者のうち、経口摂取をしておらず、且つ進行性の神経疾患を除く44名(男性25名,女性19名,平均年齢76.0±10.1歳)とした。方法は、初診時と介入後6ケ月の摂食状況を客観的に評価し、経口摂取可能の可否を、意識状態、歩行、座位保持、会話、指示理解、肺炎既往、唾液誤嚥、唾液の咽頭残留と比較した。 対象者の原疾患は脳血管疾患37名、外傷1名、廃用・高齢3名、誤嚥性肺炎3名であった。介入6ヶ月後、経口からの摂取状況は有意に向上していた(p<0.001)。31名(70.5%)は食物を用いた経口摂取訓練を開始し、17名(38.6%)は日常的な経口摂取を再開した。食物を用いた経口摂取訓練開始と有意な関連を示したのは、内視鏡所見で唾液の誤嚥と咽頭残留がみられないことであり、日常的経口再開と有意な関連を示したのは、座位保持が可能であること、会話や指示理解が良好であること、唾液の咽頭残留がないことであった。経口摂取再開するにあたって、嚥下機能に加えADLや認知機能の維持が重要であることが示された。 歯科医師の介入により在宅療養患者の経口摂取が推進され、生活機能や家族など患者周囲の者に影響を強く受けることが明らかとなった。そのため、在宅歯科医療ガイドライン作成のエビデンス構築のため多角的に検討する必要性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究参加を依頼している患者はADLが低下している者が多く、また容態変化や家族負担により入院、施設入所することが多い。そのため、継続して経過を追えないケースが多いため。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度調査した基礎データを用い、対象者についての歯科処置、口腔ケア、摂食指導を行いながら、摂食状況・栄養状態の把握、介護負担感・ストレス評価のモニタリングを引き続き行う。本研究の研究期間終了後の追跡調査も見据えて, 29年度も新規対象者を募ることとする。 また、これまでのデータをまとめ、食事の摂取状況の向上にどのような要因が関連しているかの検討を行う。同時に、主介護者の介護負担感やストレスとの関連性を検討する。
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