2016 Fiscal Year Annual Research Report
漫画・アニメ調の視覚・聴覚表現によるロボットの全身動作の誇張
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16H07264
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岸 竜弘 早稲田大学, 理工学術院, 招聘研究員 (10778054)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | ロボット / インタラクション / 感情 / 誇張 / 漫画 / アニメ / 視覚 / 聴覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はロボットが人間らしい表現だけでなく,漫画やアニメなどに見られる誇張した表現を取り入れることで意図や内部状態を読み取りやすく表現する手法を確立することを目的としている. 本研究では,表現手法が複雑なロボットの例として等身大の2足ヒューマノイドの全身表現を題材とする.具体的にはロボットの体の部位の動作による表現を漫画・アニメに特有な表現であるマークや効果音などの視覚的・聴覚的な表現で誇張することに取り組む.これらの表現手法の内容とロボットの動作や内部状態の関係を表すモデルを構築することで,特定のハードウェアや状況に依存しない表現を実現する.これにより,本研究により得られた知見は,2足ヒューマノイドのみならず,より簡易なロボットやエージェントを含む機械全体に人間とのインタラクションのための高い表現力を与えることが期待できる. 前述の目的を達成するため,誇張表現を実現する視覚的,聴覚的な追加表現手法の表現手法を選定し,それぞれの手法において表現内容を決定するモデルをまず構築し,単体で評価する.次に,これらの表現手法をロボットの全身動作に効果的に組み合わせる手法を検討する.以上により,漫画やアニメなどに見られる誇張した表現を効果的に取り入れたロボットの誇張した全身表現を実現させる. 研究初年度である平成28年度は,まずアニメ・漫画的な誇張した表現手法をのリストアップした.さらに,視覚を通じた表現手法の構築に取り組んだ.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず,研究の第一段階としてロボットの全身表現のために有効なアニメ・漫画的な誇張した表現手法を主に文献調査から収集し,リストアップした.この結果,これらの表現は心情表現を誇張するものと動作の印象を誇張するものに大分でき,まず心情表現を誇張するものとしては涙や血管などのマークによる「漫符」による表現,漫画やアニメーションの背景の色や動きなどによる雰囲気やキャラクターの心情の表現,「ガーン」という音や心拍音を表す「ドクドク」という効果音による表現などがみられることがわかった.さらに,動作の印象を誇張するものとしては腕や足などが高速に動作した際,線で残像を描く「流線」と呼ばれる表現,腕や脚の形状を引き伸ばしたり,太さを変化させたり,手や足の先端部の大きさを変化させる表現,「ヒュッ」という音などで風切り音を出力する表現などがみられることがわかった. これらのうち,特に視覚的表現の構築に取り組んだ.連続的に幅広い状態が表現可能であることに注目し,本研究ではロボットの胸部ディスプレイにロボットの感情のうち,快度と覚醒度の2軸で表現される空間を抽象的な絵で表現することに取り組んだ.複数の多角形が背景の上を群になって動き回る絵を作成し,これらを構成するパラメータの変化により感情を表現した.それぞれ色彩や図形の印象に関する先行研究を参考に,快度の変化は図形の形状の複雑さと色によって表現した.覚醒度の変化は図形の動作の速度を変化させることで表現した.これらの表現の有効性を評価する実験として,覚醒度,快度を5段階に変化させた絵を被験者に呈示し,印象を回答してもらった.実験の結果,意図したとおりの感情が読み取られたことを確認し,提案手法の有効性を確認した. 以上は,本研究がおおむね当初の予定通り進展したことを示すものである.
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Strategy for Future Research Activity |
研究第二年度である平成29年度には以下の2点に関し研究を推進する. 第1点目に聴覚的表現手法の選定と評価である.まず,ロボットの動作,内部状態を誇張して表現するための聴覚的表現のためのハードウェアを実装する.人間は高い音源定位能力を持つため,BGMのように再生箇所を問わない表現に加え,手部などの動作を誇張するためにはこれらの部位に直接小型スピーカを搭載することが必要になることが予想される.これらのためには,効果音再生のために適切なスピーカ搭載部位の選定と,ロボットの動作や外観を損なわず,各部位に簡易に搭載できる小型スピーカユニットの開発が必要になる.次に,開発されたハードウェアを利用し,特にロボットの動作を誇張する効果音,内部状態変化を誇張する効果音を選定する. 第2点目に,本研究を通じ開発された視覚・聴覚的表現手法の評価である.ロボットの動作と,本研究で開発された視覚・聴覚的表現手法を組み合わせて被験者に呈示することで,これらの表現手法の有効性を評価する.この際,ロボットの動作と視覚的表現,聴覚的表現それぞれの表現内容の組み合わせによって印象が変化することが予想されるため,実験ではこれらの組み合わせを網羅的に被験者に呈示,印象を比較する.
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[Presentation] One DoF Robotic Hand That Makes Human Laugh by Tickling through Rubbing Underarm2016
Author(s)
Tatsuhiro KISHI, Takashi Nozawa, Ai Nibori, Hajime Futaki, Yusaku Miura, Megumi Shina, Kei Matsuki, Hiroshi Yanagino, Sarah Cosentino, Kenji Hashimoto and Atsuo Takanishi
Organizer
The 2016 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems (IROS 2016)
Place of Presentation
Daejeon, Korea
Year and Date
2016-10-09 – 2016-10-14
Int'l Joint Research
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