2016 Fiscal Year Annual Research Report
サーフィン文化の起源を探る-土器編年からのアプローチ-
Project/Area Number |
16H07273
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鈴木 朋美 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (00778673)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | サーフィン文化 / 甕棺墓 / 型式学 / ベトナム中部 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では当初予定していた調査を実施することができなかった。そのため、研究の進度はやや遅れ気味である。しかし、新たに入手することが出来た資料及び実測図は型式編年を作成するにあたり有用であった。特に、今まで報告書や論文で発表されてこなかったゴークエ遺跡出土甕棺の実測図を手に入れることが出来た。合わせて、副葬土器の実測図も入手できた。以前、ゴークエ遺跡出土甕棺を展示室で実見したことがあったが、他の甕棺と異なる特徴を持つのではないかという推測を抱いていた。今回、詳細な図面を手に入れることが出来、今まで観察を行ってきたクァンナム省、ビンディン省、トゥアティエン=フエ省など他の遺跡の甕棺と比べて器面調整や形態の点で共通点が見いだせなかったため、新たな系統である可能性に気づくことが出来た。さらに、コンテクストに関する情報も入手したため、副葬品の共伴関係などもある程度把握することが出来た。目立つ副葬品の一つでもある耳飾に関しても新型式の個体の存在を確認できた。また、ほぼ同時期と思われ、未発表資料でもあるズォンクァン遺跡の資料に関する情報も得られた。そしてサーフィン文化の遺跡の中でも古い段階といわれるロンタイン遺跡に関しても、同じく情報を整理することが出来た。 今回の成果は、最近、体系的な報告や議論が行われていないクァンガイ省のサーフィン文化の土器編年とその様相(他地域との関係性)を描く作業を前進させるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
家族の病気療養に伴う介護のため日本を離れることが出来ず、予定していた現地調査を遂行できなかったから。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、28年度に収集した資料(報告書、実測図面、写真)などの整理を行う。また、データベースにトレースした完成図面と新規情報を登録しデータの保管を行う。さらに、GISソフトを用いて遺跡の位置情報整理し、地図の作成を行う。 後期にはこれまでにデータベースに登録した資料をもとに編年案を構築。特に、初期段階の甕棺墓遺跡の土器編年に重点を置く。また、流域間で器種構成と土器制作技術を比較し、地域差の有無についても検討する。 海外調査の余裕があるようならば、ビンディン省にて未発掘遺跡の踏査・土器の表採を行う。新規収集した資料について整理し、データの保管を行う。また、作成した編年案に土器の情報を加え、補完を目指す。
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