2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H07288
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐々木 多希子 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 助手 (30780150)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 非線形波動方程式 / 爆発境界 / 数値シミュレーション / 非線形偏微分方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は非線形波動方程式の爆発集合である,爆発境界の形状の研究である.特に数値シミュレーションを用いて,種々の爆発境界の形状と非線形項や伝播速度,及び初期値の関係を予測し,それを数学的に解析を行うものである.
今年度の研究では,非線形項に微分を含む,伝播速度が異なる波動方程式系や多次元の波動方程式,また消散型波動方程式などの種々の爆発境界の形状の数値シミュレーション,及び爆発境界の連続微分可能性の数学解析を行った.シミュレーション結果から,波動方程式の非線形項や伝播速度によりその程度に差はあるものの,初期値を十分大きくすると爆発境界は滑らかになり,符号が変化するなど,初期値が十分大きく無い場合には爆発曲線は特異点を持つ場合があることが分かった.
非線形項に微分を含まない波動方程式の爆発境界は,先行研究によりその正則性が研究されている.そこで,爆発境界を統一的に扱う一貫した理論構築のための手がかりとして,非線形項に微分を含む,1次元の伝播速度が異なる波動方程式系や多次元の球対称な波動方程式の研究を行った.特に,初期値が十分大きい状況下での爆発境界の数学解析を行った. 非線形項に微分を含まない形に波動方程式を変換し,解析を行うことで爆発境界の連続微分可能性を得た.この変換を行うことで,考察すべき未知関数が増え,未知関数同士の依存性がより複雑になる.また,球対称な波動方程式の場合は,スケール不変性が欠如するため解析が困難になる.しかし,初期値が十分大きい場合は,その依存性の変化やスケール不変性の欠如は解析に影響しないことがわかった.本研究の特筆すべき点は,微分を含んだ非線形項を主要項に持つ種々の波動方程式の爆発境界を扱える点である.これにより,今後の更なる進展が期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,微分を含む非線形項を主要項に持つ波動方程式系や,多次元の波動方程式の爆発境界の正則性についての結果を得ることができた.今後はこの結果を応用し,爆発境界の正則性を統一的に扱う理論を構築できると考えられるため(2)を選択した.
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Strategy for Future Research Activity |
種々の波動方程式の爆発境界を統一的に扱う理論を構築するための研究を進めて行く.研究を進めていく過程で,波動方程式のみならず有限伝播性を有する方程式は,爆発境界に類似する性質を持つことがわかった.そこで,有限伝播性の現れるporous medium方程式の解析手法などを応用することで,爆発境界の新しい解析手法の考案も行っていく.
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