2016 Fiscal Year Annual Research Report
DLC成膜による低摩擦矯正装置の開発と治療期間短縮への影響
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16H07299
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
赤池 駿 鶴見大学, 歯学部, 臨床助手 (30781611)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | Diamond like Carbon / DLC / QCM法 / 吸着 / 付着 / ブラケット |
Outline of Annual Research Achievements |
マルチブラケット装置による歯科矯正治療においては,治療期間の短縮が大きな課題となっている.本研究では,治療期間を短縮するために,矯正用ブラケットスロットに均質なダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜をコーティングにより,表面改質を施す.そのコーティング方法を最適化し,矯正用ブラケットスロットに最適なコーティング方法を検討し,臨床研究にて検証する.優れた性質の矯正用ブラケットの開発により治療期間の短縮が実現できれば,不正咬合を自覚していても歯科矯正治療を受けることが出来なかった患者も安心して,より高度な治療を受けることが可能になると期待される. 平成28年度は,摩擦に影響するタンパクや細菌などの汚れの付着・吸着特性の評価をDLC,F-DLCコーティングで行いQCM法にて評価し,矯正用ブラケットに最適なコーティングを探索した.QCMのセンサーセルへDLC,F-DLCをプラズマCVD法にてコーティングを行った.DLC,F-DLCコーティングしたセンサーセルとコントロールとしてステンレス鋼(SUS)コーティングしたセンサーセルの表面特性の評価として,接触角(水,ジヨードメタン),AFM(表面形状,表面粗さ)を行った.QCM法では,タンパクとしてアルブミンの吸着量の評価を行った.センサーセルへのDLC,F-DLCコーティングの条件設定に当初の予定以上に難航したが,コーティングを行うことにより,タンパクの吸着が低減される可能性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度は,以下の2点に関して研究を行う予定であったが,(1)については,QCMセンサーセルへのコーティングがコーティング時の熱により,気泡が発生してしまい,条件設定が当初の予想以上に困難であったため,予定よりやや遅れてしまっている.しかし,現在コーティングも完了し,表面特性の評価として接触角,AFMでの表面形状の評価を行い,現在QCM法にてアルブミンの吸着を測定おり,コーティングによりアルブミンの吸着が低減する可能性を示した.一方,(2)については,研究協力して頂ける業者を探索しているが,コストの問題で止まってしまっている. (1)QCM法にて,各種DLCコーティングの付着・吸着特性を明らかにする (2)審美性にも配慮したDLCコーティングブラケットの開発 やや遅れている理由としては,QCMセンサーセルへのコーティングの条件設定に時間がかかってしまったためである.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,前年度の結果を踏まえ,QCM法にてDLC,F-DLCコーティングの付着・吸着特性を明らかにすることとする.各種コーティングの表面特性とタンパク吸着との関連性を評価し,タンパクや汚れの付着しにくい矯正用ブラケットに最適なコーティングを探索する. 研究結果に関しては,第76回日本矯正歯科学会学術大会へ研究報告を行う予定である.
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