2016 Fiscal Year Annual Research Report
耳介形態異常の親子の苦痛を軽減する組織学的根拠に基づく耳介矯正装具の開発
Project/Area Number |
16H07307
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
宮永 葵子 金沢医科大学, 看護学部, 助教 (80782367)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 耳介形態異常 / 組織学 / 耳介矯正装具 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、折れ耳や埋没耳などの耳介形態異常の場合に使用される矯正装具の素材と形態を検討するものである。現在臨床で使用されている耳介矯正装具は、ほとんどが臨床医によって独自に作製されている。しかし、現行の装具には耳への固定が難しく外れやすい、外れないよう強く固定すると耳介を圧迫し軟骨の増生を阻害するなどの問題点がある。このため、耳介部に強化固定を行っても軟骨周囲組織を圧迫せず、血流を維持することが可能な素材を用い、さらに個々の患児の耳介の形状にフィットし容易に外れることのない矯正装置の開発を目的としている。 平成28年度は、プレ実験として正常な耳介軟骨組織の観察を実施した。実験動物は日本白色家兎、14~16週,体重2.5~3.5 kg。ウサギにペントバルビタールナトリウムを致死量静注し安楽させ、耳介部の組織を採取し、ホルマリン固定後にパラフィン包埋し、組織切片を作製した。組織染色は HE染色に加え、免疫組織学的染色として軟骨膜の主成分であるⅠ型コラーゲン、軟骨の主成分であるⅡ型コラーゲンと血管内日細胞マーカーである CD31に対する抗体を用い行った。免疫染色後に切片を撮影し、軟骨膜厚と軟骨厚は画像解析ソフトを用いて中央部の長さを計測した。血管数は1切片あたり5視野撮影し、1視野あたりの平均値を算出した。ウサギ5羽、10検体を観察した結果、軟骨膜厚は 60±17 μm、軟骨厚は 29±15 μmであった。血管数は視野あたり1.2±0.8 であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウサギ耳介部の正常軟骨組織と血管の評価を主に行ったため、装具の素材に関する実験に若干の遅れが生じたが、おおむね順調に実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、臨床で使用されている耳介装具の素材は入手できており、正常耳介組織の形態も観察済みであるため、すぐに実験を開始できる状態である。今後は素材を検討し、その素材を用い、患児の耳介にフィットする形態をさらに検討していく。
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