2016 Fiscal Year Annual Research Report
大学大衆化以後のアカデミズムの変容と「現代思想」受容に関する教育社会学的研究
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16H07317
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Research Institution | Nagoya Women's University |
Principal Investigator |
佐々木 基裕 名古屋女子大学, 文学部, 講師 (90780560)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 現代思想 / ニュー・アカデミズム / 知識社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、交付申請書に示したとおりに、①アカデミズムにおける「現代思想」受容(者)の解明、②アカデミック・ジャーナリズムにおける「現代思想」受容(者)の解明、③「現代思想」受容とアカデミズムの変容との関係に関する言説の検討を別個に進めた。 第1に、教育(諸)学に焦点を絞り、学会誌の著者情報・引用情報のデータベース化を進めた。関係の大学院生にデータ入力補助のアルバイトを依頼し、引用文献情報など、J-STAGE等ではインデックス化されていない情報の補完に努めた。 第2に、アカデミック・ジャーナリズムに相当する雑誌媒体の収集を行った。『現代思想』(青土社)や『へるめす』(岩波書店)を中心に、1980年代の現代思想型雑誌を古書店等を通じて入手した。保存状態の問題があり、OCRが利用できない場合が多かったため、こちらもアルバイトによる入力補助を利用し、目次情報のデータベース化を進めた。著者情報については、Researchmapの網羅性が低く、『全国大学職員録』を主として情報源とした。 第3に、教育(諸)学における「現代思想」に関する文献の収集・レビューを行った。収集した文献としては、当初予定していた戦後学説史のみならず、教育史分野における教養主義に関する文献なども含めた。その結果、2010年代に入って以降、1980年代におけるポストモダン受容、またそれに対する2000年代における総括に対するメタ批判が各学界で指摘され始めていることがわかった。同内容について、所属機関発行の媒体に論文を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学会誌・現代思想雑誌のデータベース化作業については、おおむね順調に進展している。「現代思想」言説のレビューについては、今年度の収集範囲を戦後教育学における言説に限定し、その分析を基とした内容を、所属機関発行の媒体に論文として執筆した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度も、3つのアプローチでの調査を継続する。第1に、「現代思想」受容言説のレビューを基に、インデックス化されるべき情報を精査し、データベースの精度を上げていく。第2に、より幅広く現代思想型雑誌を収集する。第3に、教育学以外の領域における「現代思想」言説を収集・レビューする。 また本年度は、上記3つのアプローチを集約し、積極的なアウトプットを狙っていく。本年度に関係する研究会などで発表を行い、来年度以降に学会発表、そして学会誌論文の投稿へとつなげていく。
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