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2016 Fiscal Year Annual Research Report

大脳皮質ニューロンにおける感覚運動相互作用の神経動態

Research Project

Project/Area Number 16H07354
Research InstitutionKindai University

Principal Investigator

望月 圭  近畿大学, 医学部, 研究員 (50779931)

Project Period (FY) 2016-08-26 – 2018-03-31
Keywords神経科学
Outline of Annual Research Achievements

随意運動には、その運動によって生じる感覚フィードバックの予測が伴う。この感覚運動処理の過程はコンパレータモデルによって定式化されているが、その詳細な神経科学的基盤は明らかになっていない。本研究は、レバー操作による体性感覚自己刺激課題を用い、感覚フィードバックの予測誤差を操作しつつ、課題遂行中のサル大脳皮質から電気生理学的記録を行なうことで、大脳皮質における感覚運動相互作用の神経動態を細胞レベルで明らかにすることを目的としたものである。
本年度は、1頭のサルに課題を行なわせ、課題遂行中の大脳皮質体性感覚野より単一ニューロン活動記録を行なった。これにより研究計画時点において予想した通り、一部の体性感覚野ニューロンでは単一細胞活動のレベルにおいて、感覚フィードバックの予測誤差を反映するような活動飾がみられることが明らかになった。すなわち体性感覚野ニューロンは、自身の随意的運動によって体性感覚フィードバックが予測できている場合には、外的に刺激されたときよりも弱くしか応答しない性質を有していた。こうした神経細胞レベルの感覚フィードバック処理の過程は、本年度の第94回日本生理学会大会等で発表し、他の研究者と議論を行なった。
また本年度は申請した研究計画に則り、2頭目のサルの馴化と行動訓練を行なった。サルを実験者および実験室環境に馴致させたのち、左手に体性感覚刺激を与えながら、右手でレバー操作を行なわせる課題を訓練した。これにより2頭目の個体においても、神経活動記録実験の実施に十分な課題遂行時間および課題パフォーマンスを達成した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究課題では、申請した研究年次計画に則り、本年度1頭目のサルにおける単一神経細胞活動記録を実施し、すでに当該個体からの記録を終了した。これは当初の研究計画よりも早い実施状況であり、本課題が順調に進展していることを示すものである。また2頭目の個体においてもすでに行動訓練を終え、神経活動記録を開始できる状態にある。構造MR撮像による脳解剖構造の記録の必要の関係上、2頭目の個体については本年度中に神経活動記録を開始することができなかったが、平成29年度初頭において神経活動記録を開始できる見込みである。
一方本課題では、初年度中に多点リニア電極による多ニューロン活動同時記録を開始する予定であったが、研究経費の関係上、本年度中に必要な機器すべてを購入することはできなかった。しかし研究計画にて予定したとおり、多チャンネルアナログ信号記録装置は本年度中に導入し、使用可能な状態にまで準備した。これにより、新年度予算によって必要な電極類を購入すれば、計画した多チャンネルでのニューロン活動・局所電位同時記録の実現が可能である。
これらのことから、本研究課題は本年度、当初の研究計画において想定した範囲内でおおむね順調に進展したものと考えられる。

Strategy for Future Research Activity

前述の通り本研究課題では、平成28年度、予定した多チャンネルアナログ信号記録用の装置類を導入し、神経活動記録のための環境を整えた。よって次年度は生体信号活動記録のための多チャンネル電極を購入し、課題遂行中のサル大脳皮質から多ニューロン活動記録や多チャンネル局所電位記録を行なうことで、自身の運動に伴う感覚フィードバック処理の神経メカニズムの解明を目指す。これまでの実験により、課題遂行中のサル体性感覚野ニューロンが、感覚フィードバックの誤差を反映するような活動修飾を受けることが明らかになった。よって研究計画時点において想定した神経活動記録の関心領域の変更などは行なわず、これまで記録してきた大脳皮質体性感覚領域から引き続き神経活動記録を行なっていく予定である。一方、予算面では、次年度の研究予算も応募時に申請した研究経費には満たないため、電極の消耗状況などによっては、多点リニア電極を用いた記録を2個体のサルにおいて継続することが困難になる可能性がある。このような場合には、申請時の研究年次計画において想定していたとおり、代替として通常のタングステン電極を用いることで対応し、必要とされる神経活動記録を遂行する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2017

All Presentation (2 results) Book (1 results)

  • [Presentation] 手指自己刺激課題中のサル体性感覚野ニューロンの活動.2017

    • Author(s)
      望月 圭, 中陦 克己, 稲瀬 正彦, 村田 哲
    • Organizer
      第94回日本生理学会大会
    • Place of Presentation
      アクトシティ浜松(静岡県)
    • Year and Date
      2017-03-28 – 2017-03-28
  • [Presentation] サル体性感覚野ニューロンにおける運動に伴う感覚フィードバック情報の表象.2017

    • Author(s)
      望月 圭, 中陦 克己, 稲瀬 正彦, 村田 哲
    • Organizer
      第40回日本神経科学大会
  • [Book] Neurophenotypes: Advancing psychiatry and neuropsychology in the "OMICS" era.2017

    • Author(s)
      Jagaroo V., Santangelo S. L., Mochizuki K., et al.
    • Total Pages
      306
    • Publisher
      Springer US

URL: 

Published: 2018-01-16  

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