2016 Fiscal Year Annual Research Report
英語コーパスを用いた法副詞の機能分析と類義性の解明
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16H07359
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
鈴木 大介 摂南大学, 外国語学部, 講師 (90635393)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 副詞 / 類義語 / 機能分析 / 英語史 / 語用論 / 語用論化 / (間)主観化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、英語の法副詞を対象に類義語間の意味・機能の差異を分析した。大規模な言語資料を基に統計的な手法を用いて、実証的な研究を進めると同時に、法副詞や類義語の体系についての理論的な考察を深めることを目指した。 今年度はとりわけ、以下の二点の問題に取り組んだ。(i)現代英語において、どのような言語文脈で、どのような言語形式が用いられるのか、(ii)通時的観点から、現代英語における振る舞いをどのように捉えることができるのか。(i)については、具体的にmaybeとperhaps、conceivablyとperhapsという「弱い可能性(蓋然性)」を表すペアを扱い、それぞれ「レジスター(使用域)」「(共起する)法助動詞」「生起位置」「主語の特性」といった様々な分析項目や変数を設定し、各表現との関連を明らかにした。結果として、意味が極めて類似している表現間にも関わらず、それぞれの分析項目の中では全く異なった分布を示した。この分布と言語機能(語用論的機能)との関係を議論し、さらには語用論化という一般的な言語変化メカニズムの観点から(相違についての)説明を行った。(ii)に関してはmaybeの歴史的な発達に焦点を絞り、現代英語における語用論的な機能の拡大に対する手掛かりを探った。表現の頻度や意味の変化を中心に現代に至る発達を分析したが、これには主観化という意味変化のプロセスが関わっており、現代においてもその発達が継続中であることが明らかとなった。 (i), (ii)の研究成果はそれぞれ、この分野の最大の国際誌であるLanguage、さらにはFunctions of LanguageやTokenといった一流の国際誌に論文が採択され、刊行予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、一年目の計画として、コーパスという大規模な言語資料を用いながら、法副詞の現象を詳細に記述し、着実に実証的な研究を進めていく、という具体的な目標を掲げた。実際には、実証性の高い分析モデルの構築を目指し、コーパス調査だけでなく、アンケート調査などの実験的な調査も加え、より堅実な記述分析を進めることができた。更には、maybeの語用論的機能の発達に関して、動的な面からの分析を行い、通時的な分析へと議論を拡大させたという点も特徴的であった。以上のことから、本研究は当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
一年目の研究を踏まえ、法副詞間の相違や背後に潜むメカニズムの解明に取り組んでいく。具体的には、分析項目(変数)や分析対象となる表現を拡大させ、相違の大きい変数や変数間の関係を明らかにする。最終的には言語形式と機能との関係解明に貢献できればと考える次第である。
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Research Products
(3 results)