2016 Fiscal Year Annual Research Report
急性期病棟入院中の脳梗塞患者に対する再発予防教育プログラムの構築と有効性
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16H07382
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Research Institution | The Japanese Red Cross Hiroshima College of Nursing |
Principal Investigator |
木下 真吾 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 助教 (00779704)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / 再発予防 / 患者教育 / 血圧測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞の再発率は高く、再発予防には危険因子のコントロールが重要である。しかしながら、我が国では、再発予防のための患者や家族に対する教育実施率は低い。また、脳梗塞患者は発症により、自分自身の健康をコントロールする感覚を失うことが考えられる。そのため、脳梗塞患者が自分自身で再発予防にむけて自己管理をしていくことが必要である。そして、発症後から再発のリスクは存在するため、できるだけ早期に危険因子のコントロールをする自己管理能力を身につける必要がある。しかしながら、急性期病棟入院中から再発予防教育の効果を検証した研究は希少である。そこで、本研究では、急性期病棟入院中から自宅退院後の自己管理までの継続した再発予防教育プログラムを構築した。 プログラムの構築の手順としては、まずプログラム原案の作成を次の手順にて行った。①プログラムによって、対象者が再発予防にむけて到達すべき目標を設定した。②文献検討した内容や診療ガイドラインから抽出した内容から、再発予防に必要な内容を取り入れた。③プログラム原案を脳卒中治療に従事する専門家にコンサルテーションし、プログラムの妥当性と実行可能性を確保した。次に、教育媒体および介入プロトコルの作成を次の手順で行った。①再発予防教育を実施するための教育媒体(プログラムテキスト・自己管理手帳)を作成した。脳梗塞患者が主体的に学習でき、上述した目標を達成できるように留意した。プログラムテキストとしては、主にセルフモニタリングのために必要な知識を学習できるような内容とした。自己管理手帳としては、脳梗塞患者が日々の行動を記録できるような内容とした。②介入する看護師が同様の方法で研究を進めることができるように介入プロトコルを作成した。 本研究で構築したプログラムの有効性の検証を行っていく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は研究計画に従い、脳梗塞患者が急性期病棟入院中から自宅退院後の自己管理ができるように、看護師が教育媒体を用いて継続的な支援を行うプログラムを以下の手順で構築した。そのため、研究計画の大きな修正を行うことなく、おおむね順調に進展している。 1)プログラム原案の作成 ①プログラムによって、対象者が再発予防にむけて到達すべき目標を「脳梗塞患者が看護師の継続的支援によって血圧測定実施率を向上できる」「脳梗塞患者が看護師の継続的支援によって血圧測定・運動管理・体重管理に関するセルフモニタリングが実施できる」と設定した。②文献検討した内容や診療ガイドライン(脳卒中治療ガイドライン2015、高血圧治療ガイドライン2014)から抽出した内容から、再発予防に必要な内容を取り入れた。③プログラム原案を脳卒中治療に従事する専門家(脳卒中専門医1人、慢性疾患患者の教育プログラム実施経験豊富な看護研究者1人、慢性疾患看護専門看護師1人)にコンサルテーションし、プログラムの妥当性と実行可能性を確保した。 2)教育媒体および介入プロトコルの作成 ①急性期病棟入院中の自宅退院予定の軽症脳梗塞患者に適した、再発予防教育を実施するための教育媒体(プログラムテキスト・自己管理手帳)を作成した。脳梗塞患者が主体的に学習でき、上述した目標を達成できるように留意した。プログラムテキストとしては、主に自分自身で血圧測定を正しい方法ででき、セルフモニタリングのために必要な知識を学習できるような内容とした。自己管理手帳としては、脳梗塞患者が日々の行動を記録できるような内容とした。②介入する看護師が同様の方法で研究を進めることができるように介入プロトコルを作成した。介入プロトコルは看護師が実施した内容を随時確認できるようにチェックリストタイプのものとした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に構築した脳卒中患者に対する入院中からの継続的なプログラムを、mRS=0-3(歩行可能レベル)の脳卒中患者を対象に実施し、有効性の検証を行う。有効性の検討方法としては、対照群を設置しない前後比較試験にて、介入前後の脳卒中患者の危険因子の変化および自己管理状況をみる。有効性の検証の手順としては、次の通りである。 1)介入方法は、調査実施施設の急性期病棟入院中、担当看護師が教育媒体を使用し、登録時から自宅退院1ヶ月後まで面談および電話支援(1回につき30分程度)にてプログラムを実施する。対象者の選択基準は、65歳以上85歳未満で、入院の理由となった診断名が脳梗塞であること、mRSが0-3である者とする。対象除外基準は、リクルート時のmRSが4-6の者、認知症を有する者、終末期にある者とする。介入中止基準は、死亡時、主治医がプログラム続行不可能と判断した時、対象者からのプログラム参加への途中辞退の申し入れがあった場合である。 2)登録方法は、調査実施施設の主治医から、患者に本研究について口頭で依頼してもらい、本研究の依頼の説明を聞くことに同意を得た患者を紹介していただく。紹介された患者に対して、研究補助者が研究参加依頼書で同意を得る。 3)評価指標は、主要評価指標を血圧測定実施率とし、副次的評価指標を血圧値・体重・BMI・血液検査データ(総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、血清クレアチニン、尿素窒素、空腹時血糖、HbA1c)・健康行動の実施度合いとする。評価の時期は、登録時、介入終了時の2時点とする。 4)データ分析方法としては、設定した評価指標の数値をMann-Whitney U 検定にて分析を行う。
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Research Products
(1 results)