2016 Fiscal Year Annual Research Report
The relations among understanding of mockery in the preschool years and beyond , higher-order theory of mind, and understanding emotion of others
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16H07395
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Research Institution | College of Nagoya Women's University |
Principal Investigator |
伊藤 理絵 名古屋女子大学短期大学部, その他部局等, 講師 (70780568)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 笑い / 嘲笑 / 攻撃 / 心の理論 / 感情理解 / 発達 / ユーモア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、幼児期および児童期における子どもの嘲笑の理解の発達過程を他者感情理解および高次の心の理論との関連性から明らかにすることを目的としている。平成28年度は、嘲笑の理解に関する実験課題を作成し、2種類の感情理解課題と3種類の心の理論課題、および絵画語い発達課題(PVT-R)を年長児を対象に実施した。嘲笑の理解に関する実験課題は、「失敗したことを笑われて泣く」という結果は同じであるが、失敗の原因を作った者が笑い手となる課題と偶然に失敗場面を見た者が笑い手となる課題の比較課題である。得られたデータは分析中であるが、笑いの意図について、失敗の原因を作った者が笑い手となる状況を理解しているか否かで、同じ「笑われて泣く」という場面に対して回答が異なることが示唆されている。また、笑われて泣くという結果が同じであっても、転んで笑われること(身体的苦痛課題)と麦茶をこぼして笑われること(心理的苦痛課題)について、幼児期後期の子どもの回答を分析し、学会発表を行った。身体的苦痛課題と心理的苦痛課題では、笑われる不愉快さの認識が異なっている可能性がみられ、他人が転ぶおもしろさは、幼児にとって理解しやすい状況であり、麦茶をこぼすことよりもユーモラスな状況であると認識されやすい傾向があった。児童期については、小学校から研究協力が得られ、次年度に授業の一環として実験課題を用いた授業を実施することとなった。そのため、本年度は児童に対する実験は行わず、実験授業の実施に向けた観察と打ち合わせを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、幼児に対して実験を実施することができており、次年度も協力園に在籍する幼児については同意書を得ている。また、次年度に入園する幼児にも協力を依頼する予定である。児童期における実験はできなかったものの、実験授業として実施することになり、小学校での観察を行うとともに、現場の先生方と話し合いながら進めることができた。幼児期の実験についても、協力園の先生方と普段の子どもたちの様子について話し合う機会を得ることができており、当初の計画よりも理論と実践を統合した発展的な内容となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、幼児に対して実験を行う。年長児だけでなく、年少児、年中児にも実施予定である。児童期については、協力校の先生方と実験授業実施に向けて打ち合わせを数回行ったのち、後期に実施する予定である。得られた結果については、学会発表および論文化することで公表していく。
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