2016 Fiscal Year Annual Research Report
An empirical study of instructional utterances based on dialogue corpus
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16H07416
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Research Institution | National Institute for Japanese Language and Linguistics |
Principal Investigator |
川端 良子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 音声言語研究領域, プロジェクト非常勤研究員 (50705043)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 共有信念 / コーパス / アノテーション / 共同的活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
複数人が協力して一つの目標を達成しようとする際,活動のメンバーは他のメンバーに対して「指示」を与える場合がある。この「指示」を人々は実際にはどのように行い,課題を達成しているかを明らかにするために,本年度はまず,『日本語地図課題対話コーパス(MapTask)』を用いて,言語活動と課題の遂行の関係に関する詳細な分析を行った。この分析を行うにあたり,コーパスに対して2種類のアノテーションを行った。一つは,「指示」「受諾」「完了の報告」等の言語行為レベルのアノテーションである。もう一つは,最終的な目標の達成を複数のサブ目標の達成として分節化するためのアノテーションである。この2種類のアノテーションに関する基準を策定し,アノテーションを行った。分析の結果,地図課題対話における典型的な指示表現が明らかになった。一般的に指示を行う場面では,「~してください」「~してね」等の依頼,命令を表す表現が用いられることが予想される。しかし,分析の結果これらの表現よりも「~します」「~て」等の表現が多く使用されていることが明らかになった。また,「~たら」「~と」などの,従来指示と考えられてこなかった表現も,会話においては指示的な役割を果していることが示唆された。さらに,それぞれの表現によって課題の進行過程が異ることが示された。 この結果を一般化するために,別のコーパスを用いた分析を行うことにした。分析に用いたのは,現在構築中の『日本語日常会話コーパス(CEJC)』である。CEJCを用いて分析を行うためにアノテーション基準の策定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は2名の作業者にアノテーションを依頼する計画であった。1名はすぐに見つかったものの,もう1名を探すのに予定より時間がかかってしまった。また,最初に作業を依頼した作業者が作業期間の途中で体調を崩してしまい,定期的な作業ができなくなってしまった。そのため,予定よりもアノテーション作業が遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
アノテーションの遅れに対処するため,アノテーションの効率化を図ることにした。予定では,さまざまな分析を行うために多数のタグを付与する予定であったが,研究の対象する現象を限定して,可能な限り計算機を用いた事前の処理を施すことにした。また,タグ付与の判断に迷う箇所を特定し,対応方法を決めた。
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