2016 Fiscal Year Annual Research Report
減数分裂特異的に相同染色体間の接着を媒介するメカニズムとその制御
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16H07422
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
坪内 英生 基礎生物学研究所, 幹細胞生物学研究室, 特別協力研究員 (20283822)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 減数分裂 / 染色体 / 細胞周期 / 相同組換え / 出芽酵母 |
Outline of Annual Research Achievements |
減数分裂を通じて染色体数は半減し、遺伝的多様性が増幅され配偶子 (精子、卵) が形成される。特に第一分裂の前期において、父方由来と母方由来の染色体 (相同染色体) が全長にわたって密着し遺伝情報を交換することは、減数分裂に必須の過程である。この相同染色体対合を支える複雑な染色体構造をシナプトネマ複合体と呼ぶ。シナプトネマ複合体形成と解離の制御機構はよく分かっていない。本研究において、私はシナプトネマ複合体が減数第一分裂期における染色体分配に先立ち迅速に分解される機構についての解析を行っている。これまでの結果により、シナプトネマ複合体の分解反応が細胞周期依存的キナーゼのネットワークにより制御されていることが示唆された。とりわけDDK (Dbf4-dependent Cdc7 kinase) とPoloキナーゼの相互作用がその制御の鍵を握ることを示唆する遺伝的データを得た。具体的には、DDKとPoloの相互作用に影響を与える種々のdbf4変異を作成し、DDKとPoloの相互作用の強度がシナプトネマ複合体の分解に与える影響を体系的に調べた。その結果、DDKとPoloの物理的相互作用がシナプトネマ複合体の分解制御の鍵を握ること、その相互作用強度がDDKのリン酸化レベルの重要なモジュレーターであることが明らかとなった。以上の結果により、シナプトネマ複合体の分解がPoloによるDbf4のリン酸化により制御されている可能性が強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DDKがシナプトネマ複合体の分解制御に関与していることを明確に示すことができた。また、DDKの制御をつかさどるリン酸化反応を分子的に理解しつつある。PoloとDbf4の直接的相互作用がDbf4のリン酸化反応及びシナプトネマ複合体の分解に重要であることを示した。さらにDbf4の効率的なリン酸化に必須な部位を同定した。
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Strategy for Future Research Activity |
DDKの制御とDbf4のリン酸化について、そのリン酸化部位の正確な特定と、そのリン酸化がDDKの活性に及ぼす影響を明らかにするとともに、DDKとPoloがどのような機構を通じてシナプトネマ複合体の分解を促進するのか、その実態の解明に取り組んで行く予定である。
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