2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of 18F-labelled phosphonium derivatives for tumor imaging
Project/Area Number |
16H07431
|
Research Institution | Southen Tohoku Research Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
冨永 隆裕 一般財団法人脳神経疾患研究所, 南東北創薬・サイクロトロン研究所, 助手 (50778602)
|
Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
|
Keywords | 腫瘍イメージング / ミトコンドリア / ホスホニウム / PET |
Outline of Annual Research Achievements |
FDG-PET検査の普及により癌の早期発見が可能となったが、FDGが苦手とする炎症部位や生理的集積がみられる脳、腎臓では、病変部位との正確な鑑別が困難である。非局在型脂溶性陽イオンの1つであるホスホニウム塩は、ミトコンドリア(Mt)内膜に形成される負の膜電位に駆動され、Mtに特異的に集積する。癌細胞のMt膜電位は正常細胞と比較してより低いため、より高いホスホニウムの集積がみられることが報告されている。本研究では、当グループで開発したフッ素18標識ホスホニウム塩(18F-TAP)を用いた腫瘍イメージングへの応用を目的とした。 まず、3種類の18F-TAP誘導体(18F-TAP-A, -B, -C)を設計し、合成条件の最適化を行った。溶媒や反応温度などの検討を行い、中程度から良好な収率でそれぞれを標識合成できた。次に得られた薬剤を用いて健常マウスで小動物PET、及び体内分布実験を行った。その結果、Mtが豊富に含まれている心臓では、それぞれ高い放射能の集積が確認できた。一方で、肝臓の放射能の集積は構造異性体間で大きく異なっており、18F-TAP-Aでは肝臓から速やかに放射能が消失することが明らかとなった。 次に、優れた動態を示した18F-TAP-Aを基本骨格として複数の新規18F-TAPを設計し、それぞれの標識合成条件を検討した。いずれの化合物についても中程度の収率で標識合成に成功した。合成成功したものから順次癌細胞への取り込み実験を行い、良好な細胞取込みを確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
合成条件の検討により簡便な合成法を確立できたため、生物実験を行う際に安定的な薬剤の供給が可能となった。本法により、複数の新規18F-TAP誘導体の合成に成功した。また、癌細胞を用いて、薬剤の構造とその細胞取込みに関するデータを収集できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は癌細胞、担癌モデルマウスを用いた研究を進める。 癌細胞を用いたin vitro実験では、合成した複数の18F-TAP誘導体の中から高い集積性を示すトレーサーを選出する。次に、ミトコンドリア膜電位トレーサーである3H-TPP、脱共役試薬であるCCCPなどを用いて、選出されたトレーサーの癌細胞への集積機序を明らかにする。また、異なる臓器由来の癌細胞間でトレーサー集積量の違いについて検証を行い、どの癌種に適したトレーサーであるかを明らかにする。 in vivo実験では、選出されたトレーサーを用いて、健常マウスで体内分布実験を行い、放射能の組織分布に関する情報を収集する。次に、担癌モデルマウスを作成してイメージング性能を評価する。in vitro実験で良好な集積がみられた癌細胞を皮下移植した担癌マウスに対して、小動物PETを用いて移植癌に対する18F-TAPの集積を経時的に解析する。以上の実験により、本研究で選出した18F-TAPの腫瘍イメージング剤としての有用性を明らかにする。
|