2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the farmers' activity and occurrence of rice planthoppers toward pest control in Southeast Asia
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16H07433
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
松川 みずき 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 任期付研究員 (50782637)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 東南アジア / トビイロウンカ / 殺虫剤 / 農家調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
イネを加害するウンカ類の殺虫剤に対する感受性の低下により、アジア諸国でウンカの防除が難しくなっている。東南アジアでは、ウンカが周年的に生息が可能であることから、殺虫剤抵抗性を発達させる場となり得、これらの個体群が中国以北へと飛来拡散していると考えられている。東南アジアでは、多種多様な殺虫剤の散布が指摘されているものの、農家圃場での実際の作付体系とそれによるウンカ類などの害虫・天敵類の発生状況については明らかになっていない。そこで本研究では、ウンカ類の被害が問題視されているベトナムとカンボジアにおいて、社会科学的および自然科学的調査手法を用いたフィールド調査により、ウンカ等イネ害虫の発生実態と、殺虫剤の使用状況の関連性を明らかにすることを目的とした。 初年度は、カンボジアの乾季作において、農家調査により殺虫剤の使用実態に関して殺虫成分や散布時期等の情報を得るとともに、水田での見取り調査およびトラップ調査により害虫・天敵の発生数を把握した。農家調査では準備した質問票が十分か否かを確認した上で本調査を実施した。昆虫相の調査方法については、当初予定していた株刈調査を農家の所有する水田において実施する許可を得ることが困難だったため、上記2つの方法に変更した。これらのデータから、殺虫剤の散布回数と害虫の発生数に関連性は認められなかった一方、天敵数は減少する傾向が認められたことから、農家が過度に殺虫剤を散布している可能性が示唆された。初年度に農家調査および水田調査の方法が確定できたので、来年度の雨季作の調査も同様に実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の自己評価は、「やや遅れている」と判断する。初年度は、カンボジアおよびベトナムで乾季作における農家調査および水田での昆虫相の調査を行う予定であった。前者についてはおおむね順調に進んでいるが、後者については当初調査対象とする予定であった地域の植物保護局職員からの協力が得られなくなったため、調査地の選定に留まっている。雨季作の調査に向けて、播種時期に合わせた調査時期を調整中である。カンボジアの乾季作における農薬使用状況と昆虫相の関連性については、2016年度に開催された学会で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の乾季作の調査で農家調査と水田調査の方法が確定できたので、雨季作でも同様に、カンボジアおよびベトナムにおいて、作付体系に関する農家調査と、農家圃場におけるウンカ類とその天敵類の密度調査を実施し、雨季作における農家の作付体系とウンカの発生数の関係について考察する。得られた成果については、速やかに国内外の学会および学術雑誌などで公表する。
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