2016 Fiscal Year Annual Research Report
Lithium incorporation into monazite: towards resolving mass transport records of Earth's crustal system
Project/Area Number |
16H07438
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
阿部 健康 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 安全研究・防災支援部門 安全研究センター, 研究職 (30780580)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | リチウム地球化学 / モナズ石 / 単結晶合成 / 単結晶X線構造解析 / 欠陥化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究テーマの最終目標は,Liを利用して年代測定鉱物と深部H2O流体との相互作用を理解し,地殻内の物質循環史を解明することにある.Liは, 深部H2O流体と鉱物との相互作用のトレーサーとして注目されている元素の一つであり,地球マントルの主要構成鉱物であるかんらん石や輝石中のLi濃度やLi同位体組成について既に多くの先行研究がある.年代測定鉱物では,ジルコンについてLi濃度や同位体組成のデータがあるが,数十億年にわたる地殻進化の歴史を地球スケールで理解するためには,ジルコンのみでは不十分である.そこで本研究課題では, 地殻を構成する岩石に広く分布する年代測定鉱物モナズ石に新たに注目し,そのLi濃度や同位体組成を取得して解釈することを目指し,その礎としてモナズ石におけるLi固溶の証明とLi固溶形態の推定を行う.
平成28年度は,①Li分析に関する情報収集,②単結晶合成に使用するシリコニット炉の整備及びモナズ石単結晶合成,③単結晶X線構造解析の準備を行った.①では,文献調査や学会参加により,LA-MFC-ICPMSによってLi分析が可能であることがわかった.②では,長く稼働していなかったシリコニット炉を発熱体点検・温度勾配測定を行うなどして整備し,年度末に単結晶合成を始めることができた.③では,既に持っていた回折強度データを使って一連の解析手順を身につけ,また結晶学会・高エネルギー加速器研究機構主催の講習会に参加して解析時に必須の結晶学の理解を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
モナズ石合成に使用するシリコニット炉の型が古く且つ管理区域内にあり,その整備に予定以上に時間を要したため.また,中性子線源であるJRR-3が稼働せず,Liの検出及び定量方法として当初予定していた即発γ線分析が実施できなかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
28年度末より開始したモナズ石単結晶の合成を順次進めつつ,得られた単結晶の顕微鏡・SEM観察,X線回折実験を行う.Liの分析は,LA-ICP-MSを用いて行うことを計画しており,組織・結晶構造の評価と同時に準備を進め,実施する.また,筆者が所有しているペグマタイト起源の天然モナズ石について,基本的な鉱物学的記載及びLi分析を行い,既存の知見とLiデータの関係を確認する.
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