2016 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアイントロンの解析によるスプライソソーマルイントロン進化の解明
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16H07451
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
西村 祐貴 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソースセンター, 特別研究員 (20783012)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | ミトコンドリアゲノム / グループIイントロン / グループIIイントロン / 転移性イントロン / 有中心粒太陽虫類 / カタブレファリス類 |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物の核に存在するスプライソソーマル(sp)イントロンは、ミトコンドリアゲノムに存在するグループII(gII)イントロンが起源であると考えられている。したがって様々な真核生物のミトコンドリアゲノム内に存在するgIIイントロン、及びそのスプライシング因子を調べることで、gIIイントロンからspイントロンへの進化を解明する手がかりが得られると考えられる。 2016年度は次世代シーケンサーを利用して、有中心粒太陽虫類Raphidiophrys contractilisとカタブレファリス類Leucocryptos marinaのミトコンドリアゲノムの完全配列を決定した。なおカタブレファリス類のミトコンドリアゲノムが解読されたのは本研究が世界で初めての成果である。R. contractilisのミトコンドリアゲノムからはgIIイントロンは検出されなかったが、別種の転移性イントロンであるグループI(gI)イントロンが多数発見された。また、本種のミトコンドリアゲノムは未記載の近縁種SRT127のそれとgIイントロンの存在に加えて遺伝子組成、シンテニー、GC含量、遺伝子密度の点で類似しており、本生物群におけるミトコンドリアゲノムの進化を考える上で興味深い材料が得られたと言える。一方、L. marinaのミトコンドリアゲノムにはgIIイントロンが複数同定されたので、今後それぞれの進化的起源やスプライシング因子について探索する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では新奇真核微生物Roombia sp.を対象として、ミトコンドリアゲノムの解読とそこに存在するイントロンに作用するスプライシング因子の探索を行う予定だったが、培養株の不調が原因でこれに関する実験を行えなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
Roombia sp. 培養株を復調させるために、培地の組成や培養温度の検討を行う。培養株の状態が回復し、大量の細胞が回収できるようになった後は、当初の予定通り次世代シーケンサーによるミトコンドリアゲノムの解読とミトコンドリアのプロテオームを行い、イントロンとスプライシング因子を探索する。 さらに真核生物におけるミトコンドリアゲノムの多様性を解明するために、配列データの乏しい生物群のミトコンドリアゲノム解読も引き続き行う。
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Research Products
(4 results)