2016 Fiscal Year Annual Research Report
ミナトカモジグサを用いた紋枯病抵抗性機構の解明とその原因遺伝子の同定
Project/Area Number |
16H07452
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
香西 雄介 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (50783502)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 病害抵抗性 / 紋枯病 / ミナトカモジグサ / トランスクリプトーム / QTL解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
紋枯病はイネ2大病害の1つで糸状菌<i>Rhizoctonia solani</i>が原因となる。代表者は研究材料として小型草本モデル植物であるミナトカモジグサを用いることで、標準系統のBd21と比べて顕著に紋枯病の病徴が軽減される5種の抵抗性系統を見出した。本植物種が持つ原因遺伝子および抵抗性発現機構は、イネにおける紋枯病抵抗性品種開発への応用が期待される。そこで本研究では、紋枯病抵抗性発現機構の解明を行うと共に、抵抗性を司る原因遺伝子の候補の同定を目指す。 まず、抵抗性系統において紋枯病菌の感染が抑制されるタイミングを解析した結果、接種葉で菌体バイオマスが検出されはじめる接種後20時間から菌体量が低く抑えられていた。これら抵抗性系統の葉身表面では紋枯病菌の感染器官であるinfection cushionがほぼ観察されなかった。次に、紋枯病菌感染過程における植物ホルモンマーカー遺伝子群の発現を解析した結果、罹病性のBd21ではジャスモン酸マーカー遺伝子が顕著に発現誘導されていた。一方、抵抗性系統の解析から、これらはサリチル酸(SA)マーカー遺伝子が顕著に誘導される真性抵抗性型を示す2種とホルモン非依存的な抵抗性型を示す3種に分かれた。次に、Bd21と真性抵抗性型の1種を用いて紋枯病菌感染過程における時系列トランスクリプトーム解析を行った結果、真性抵抗性型の1種ではPTIに加えてSAシグナル経路が接種後16時間までの初期に活性化すること、防御応答へのリソース再配分に起因すると考えられる一次代謝の抑制がBd21と比べて速やかに起こることを明らかにした。紋枯病抵抗性を司る原因遺伝子の探索は、Bd21と抵抗性系統を交配した後代集団を用いた量的形質座位(QTL)解析により実施したが、紋枯病抵抗性形質は反復実験間のぶれが大きいためF2集団を用いたQTL解析は困難であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に加え、新たに3種の紋枯病抵抗性系統を同定した。抵抗性系統で菌感染が抑制されるタイミングを明らかにし、真性抵抗性型の1種については菌感染過程における時系列トランスクリプトーム解析により特徴的な応答を見出した。抵抗性を司る原因遺伝子候補の探索はやや遅れているが、抵抗性メカニズムの解明については順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
抵抗性メカニズムの解明は、ホルモン非依存的抵抗性型について時系列トランスクリプトーム解析を実施する。抵抗性を司る原因遺伝子候補の探索は引き続きQTL解析により行うが、安定的に反復実験を行うためRecombinant Inbred Lines (RIL)集団を解析材料として用いる。また表現型の解析項目を増やし、既報のマーカーに加えて所属研究室で新たに整備したSNPマーカーも利用する。
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[Presentation] ミナトカモジグサにおける植物免疫ホルモン応答性マーカー遺伝子の同定と発現プロファイルの解析2016
Author(s)
香西雄介, 山中由利恵, 渡邉恵, 木村麻美子, 松井英譲, 山本幹博, 一瀬勇規, 豊田和弘, 恩田 義彦, 持田恵一, 能年義輝
Organizer
平成28年度日本植物病理学会関西部会
Place of Presentation
静岡県コンベンションアーツセンター
Year and Date
2016-09-29 – 2016-09-30