2016 Fiscal Year Annual Research Report
The relationship between stress and substance dependence in opioid receptor knockout mice.
Project/Area Number |
16H07463
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
森屋 由紀 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 研究員 (50783528)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | μオピオイド受容体欠損マウス / 社会的敗北ストレス / アルコール依存 / 拘束ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
ストレスは様々な疾患の引鉄となり心身の健康を損ねる。ストレス関連疾患の中でもとりわけ深刻なものの一つにアルコール依存症が挙げられる。アルコール依存症は現在効果的な治療法が確立されていないため、ストレスに起因したアルコール依存発症のメカニズムを解明することは、有効な治療法確立のためにも極めて重要である。本研究ではアルコール依存症の分子病態を明らかにするために、オピオイド受容体に着目した。 μオピオイド受容体欠損マウスおよび野生型マウスに身体的、精神的ストレスを負荷し、その時の飲水量とアルコール消費量を、2-bottle preference test(8%アルコール vs 水)によって測定した。マウスは1週間測定ケージの新規環境に慣れさせた後、2%、4%、6%、8%アルコールにそれぞれ2日間馴化させた。ストレス負荷時のアルコール摂取は8%アルコール濃度で行い、14日間測定を続けた。14日間の測定後、一定期間(約1ヶ月)の断酒期間を設けた後、再度アルコールを呈示し、アルコール依存の再燃を検証した。雌雄で依存形成は確認できなかった。 さらに、身体的ストレスには拘束ストレス負荷を行った。50 mlの遠心チューブに空気穴を開け、その遠心チューブにマウスを入れることによって拘束ストレス負荷とする。拘束ストレスは一日に一時間負荷し、14日間継続した。μオピオイド受容体欠損マウスと野生型を用いて、1日1時間の拘束ストレス負荷を2週間行ない、その期間のアルコール摂取量を測定したところ、雌性野生型マウスでは拘束ストレス時にアルコールへの忌避が生じるのに対し、雌性μオピオイド受容体欠損マウスではアルコールへの嗜好が高まることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルコール依存形成モデルマウスの確立に時間がかかった。 マウスの繁殖に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、今年度はアルコールによる精神・身体依存の動物モデルを用いて、急性・慢性の身体的あるいは心理社会的ストレスがアルコール依存を発症・再燃させるメカニズムについてµオピオイド受容体欠損マウスの行動変化と雌雄差を確認した。 次年度はこれらの研究を更に発展させ、性差の観点からストレスや疼痛、物質依存の神経基盤を明らかにすることで、有病率に性差が見られる共通の神経基盤を有する神経疾患の解明にも役立つ可能性が考えられる。
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