2016 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular genetic approach to the plant organogenesis using DMSO sensitive mutants
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16H07482
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Research Institution | Okazaki Research Facilities, National Institutes of Natural Sciences |
Principal Investigator |
野崎 守 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 研究員 (50709631)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | DMSO高感受性 / 不定根形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでシロイヌナズナにおいて、器官新形成時の細胞増殖制御に異常を示す温度感受性変異体が多数、単離されてきた。これらは細胞増殖制御を遺伝学的に追究することに貢献しているが、変異の大半がRNAの基本的なプロセッシング・代謝に関するもので、温度感受性変異特有のバイアスがかかっている可能性も考えられる。温度感受性変異体を用いた解析ではまた、温度変化に対する生理応答が関係するために、表現型の解釈が単純ではない。これらの問題に関しては、温度感受性に代わる条件変異の利用が解決策となり得る。 本研究では、タンパク質の構造安定性に影響するジメチルスルホキシド(DMSO)への感受性が高まったDMSO高感受性変異を用いることで器官形成時の細胞増殖制御の解析を試みた。DMSO高感受性変異体の単離は、温度感受性変異体の単離で最も実績がある胚軸からの不定根形成を指標とする方法を用いて行った。エチルメタンスルフォン酸により突然変異を誘発したシロイヌナズナのM2世代4672株での1次スクリーニング、その自殖次世代における2次スクリーニング、さらに野生株との交配による遺伝的純化を行い、これまでに11系統のDMSO高感受性変異体を単離した。これらの変異体ではDMSO存在下の不定根形成において、細胞増殖活性の著しい低下や、根端分裂組織の肥大化、不定根形成初期の形態異常など、細胞増殖に異常を示す多様な表現型が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、単離することができたDMSO高感受性変異体から、順次、責任遺伝子を特定するためのシークエンス解析を進めることを計画していたが、予想していたよりも多くの変異体を単離することができたことに加えて、一部の植物体の生育不良により単離までの時間が予定よりも少し遅れたこともあり、当初の計画を変更して来年度に単離できている変異体をまとめて次世代シークエンスにより解析することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
単離したDMSO高感受性変異体は、カルス形成、側根形成、シュート再生などの組織培養応答を中心に、細胞増殖制御に注目して表現型の解析を進める。これまでの解析から、温度感受性変異体はどのような基本RNAプロセッシングに関わるかによって、組織培養応答においてそれぞれ異なるユニークな表現型を示すことがわかっており、表現型上の特徴からRNAプロセッシングとの関連の有無を推測できると考えている。その解析と並行して、責任遺伝子の同定を進め、配列情報に基づいて各遺伝子の分子機能を追究する。
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