2016 Fiscal Year Annual Research Report
プロテイノパチー発症機序解明のためのHDAC6選択的PETプローブの開発
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16H07486
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
多胡 哲郎 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (50780649)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 核医学 / 放射性医薬品 / PET / プロテイノパチー / HDAC6 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒストンデアセチラーゼ6(HDAC6)はヒストンの脱アセチル化を担う酵素群の一員として発見されたが、核内ではなく主に細胞質に局在しており、基質としてα-チューブリンやHSP90、タウ蛋白質がある。また別の機能としてHDAC6はユビキチン結合部位を有し、ポリユビキチン化された蛋白質をアグリソームに運ぶ役割を担う。近年の研究から、異常蛋白質の蓄積を特徴とした神経変性疾患(プロテイノパチー)の発症にHDAC6が関わっていることが示唆されており、治療標的としても注目を集めている。本研究では、陽電子断層撮像法(PET)によるHDAC6のイメージングを目的に、HDAC6選択的阻害剤であるツバスタチンAの放射性標識誘導体を合成した。PETにより生体内のHDAC6の発現を検出することが出来れば、プロテイノパチーの発症機序の解明や、新規治療薬の開発にも応用できる可能性がある。 本研究では11C標識体と18F標識体の2種類のツバスタチンA誘導体の合成を試みた。11C標識体については、脱メチル化前駆体と[11C]CH3Iまたは[11C]CH3OTfをDMSO中で反応させて合成し、分取HPLCにより精製した。18F標識体については、トシル化前駆体を[18F]TBAFとアセトニトリル中で反応させた後、メチルエステル部位をヒドロキサム酸化して合成し、分取HPLCにより精製した。いずれの標識体も、生物学的評価に使用するのに十分な放射化学的収率、放射化学的純度、比放射能で得られた。各標識体については、正常マウスにおける体内分布試験を行い、動態や代謝経路を評価した。いずれも血中から時間とともに放射能が減少し、肝臓や腎臓において高い集積を示した。また脳への放射能集積はピーク時でも0.3% ID/gであり、各標識体は血液脳関門透過性に乏しいことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、3種類のHDAC6プローブ候補の非標識体を合成し、そのうち2種については標識前駆体も合成して、放射性標識合成法を確立することが出来た。また標識合成できた2種については生物学的評価も開始することが出来た。平成28年度の計画は標識合成法の確立と生物学的評価の着手であり、以上の研究成果を踏まえると、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、現在までに標識合成法が確立できた2つの化合物については、HDAC6への結合試験や正常マウスにおける代謝解析試験を行い、HDAC6プローブとしての有用性を評価する。以上の研究については一報の研究論文にまとめる。また血液脳関門透過性の改善が期待される基本骨格を有する新規化合物の合成も着手しており、その誘導体を複数合成する。標識前駆体の合成や標識合成法の確立も順次行っていく予定である。
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Research Products
(2 results)