2016 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者における老性自覚の認知機序について-神経生理学的解明の試み-
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16H07496
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
江見 美果 (上野美果) 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 神経情報画像開発研究室, 研究員 (00779697)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 老性自覚 / 高齢者 / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢により高齢者は身体機能や認知機能において一定のパフォーマンスの低下・喪失を経験する。また、加齢による変化は身体・心理的側面のみならず、退職や配偶者との死別、孫の出生などの社会的側面においても生じる。このような変化は直ちに深刻な問題を引き起こさなかったとしても、それがきっかけで高齢者は自己の老いを認識することになる。高齢者が自己の老いを主観的に自覚する老性自覚は、心身の健康に影響しうる重大な因子とされている (Steverink et al., 2001; Wurm et al., 2013)。本研究の目的は、老性自覚の認知機序について、磁気共鳴機能画像法 (functional magnetic resonance imaging: fMRI)を通して神経生理学的に明らかにすることである。 初年度であった平成28年度には、fMRIによる脳機能測定実験に用いる課題として、実験的に高齢者に老性自覚を生じさせるための課題「老性自覚課題」の準備を行った。実験で提示する言葉刺激(老いを連想させる「老い語」および老いとは関連のない「非老い語」)を選定するために、若年者および高齢者100名に対して予備調査を行った。その結果をもとに、「老い語」と「非老い語」を選定することができた。また、fMRI実験で行う課題プログラムを作成し、老性自覚課題の準備が整った。2年目の平成29年度には、この課題を用いてfMRI実験を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、平成29年度に実施予定であるfMRIによる脳機能測定実験に用いる老性自覚課題を準備することが目的であった。現在までに、予備調査を終え、老性自覚課題に用いる言葉刺激を選定することができた。また、選定した言葉刺激を用いてfMRI実験で行う課題プログラムを作成することができ、実験の準備が整った。よって、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目である平成29年度においては、作成した老性自覚課題を用いて、fMRIによる脳機能測定を行い、老性自覚の認知処理に関わる脳領域の解明を試みる。高齢者(60-80歳)と若年者(20-35歳)各25名を対象に実験を行う。研究用の3T-MRI装置を使用し、老性自覚課題中の脳活動を測定する。平成29年度は上記の実験の実施およびデータ解析を行うとともに、その成果について国内外の学会で発表すべく準備を行う。
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[Presentation] Dependency of the activations detected in resting state networks on the history of physical exercise activities in older adults.2016
Author(s)
Ueno, M., Kiyama, S., Suzuki, A., Tanaka, A., & Nakai, T.
Organizer
BrainConnects 2016
Place of Presentation
Taichung, Taiwan
Year and Date
2016-09-22 – 2016-09-24
Int'l Joint Research