2016 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外環境を感知してNotchシグナルの強弱を制御しうる翻訳後修飾の解析
Project/Area Number |
16J00004
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小川 光貴 名古屋大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | Notch / EOGT / O-GlcNAc / 血管内皮細胞 / angiogenesis |
Outline of Annual Research Achievements |
Notch 受容体上の細胞外 O-GlcNAc 修飾は、細胞外環境を感知して Notch シグナル強弱の調節機構を制御し、血管の発生を司る翻訳後修飾であるという仮説を実証することが本研究の目的である。本研究目的を実証するには、大きく分けて3つの研究課題を実施する必要性がある。課題A: 細胞外 O-GlcNAc 修飾が血管の発生や機能維持を制御しているのかを遺伝子欠損マウスを用いて生物学的に解析する必要性がある。課題B: 細胞外 O-GlcNAc 修飾による Notch シグナルの調節機構を遺伝学的な解析と生化学的な解析で解明する必要性がある。課題C: グルコサミン投与による Notch 受容体上の細胞外 O-GlcNAc 修飾の増減が Notch シグナルや血管の発生、血管の機能維持機構をどのように制御しているかを生化学・組織学的な解析で明らかにする必要性がある。本年度は課題A及び課題Bについて実施した。下記に本研究で得られた研究成果を示す。
課題A: EOGTは網膜血管の血管内皮細胞に高発現し、血管内皮におけるEOGTの欠損は、血管形成や網膜血管のintegrityの異常が観察された。このような異常は、Notch1やRbpjの異常によっても観察され、Eogtとの遺伝学的相互作用を示した。また、in vitroの実験結果と一致して、Jagged1ではなくDll4の変異において見られるマウスの表現型に一致した。
課題B: 細胞を用いたリガンド結合実験より、EOGTはDelta-like 1 (DLL1)、もしくはDLL4を介したNotch1との相互作用とNotchシグナルの活性化を制御することを明らかにした。一方で、Jagged1を介したNotchシグナルには明らかな異常を認めなかった。Notchシグナルは血管形成に重要な役割を果たすことが知られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、EOGT 欠損マウスを用いて細胞外 O-GlcNAc 修飾の生物学的意義を主に解析をした。その結果、細胞外 O-GlcNAc 修飾は 血管内皮細胞において血管形成を制御していることを明らかにした。また、EOGT は Notch1 と遺伝的相互作用を示すことを EOGT/Notch1 2重変異体マウスにおいて明らかにした。これらの研究成果は eLife に掲載されており(*Sawaguchi, * Varshney, *Ogawa et al., 2017, eLife *equal contribution)、また、日本分子生物学会や Notch Meeting で招待講演演者として発表する機会を得た。現在、細胞外環境の変化に応答して細胞外 O-GlcNAc 修飾が変動することを見出しており、細胞外環境に応答した細胞外 O-GlcNAc 修飾の変化により Notch シグナルが制御させる可能性について解析を進めている。上記のように、期待通りの研究の進展があり、今年度以降も継続的に成果が得られることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、「課題C: グルコサミン投与による Notch 受容体上の細胞外 O-GlcNAc 修飾の増減が Notch シグナルや血管の発生、血管の機能維持機構をどのように制御しているか」に焦点を当てて解析を進める。具体的に、HEK293T 細胞や血管内皮細胞にヘキソサミン生合成経路活性化剤であるグルコサミンを処理することで、Notch 受容体上の O-GlcNAc 修飾の変動を抗 O-GlcNAc 抗体を使用したウエスタンブロッティングや質量分析装置で解析する。また、グルコサミンを処理した際の Notch シグナルの変動を HES-1 レポーターアッセイ系やDll1/4とのリガンド結合実験で解析する。
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[Presentation] Extracellular O-GlcNAc is required for retinal vascular development and Dll4-Notch signaling.2016
Author(s)
Mitsutaka Ogawa, Shweta Varshney, Shogo Sawaguchi, Yuta Sakaidani, Hirokazu Yagi, Kyosuke Takeshita, Toyoaki Murohara, Koichi Kato, Pamela Stanley, and Tetsuya Okajima
Organizer
Society for Glycobiology 2016 ANNUAL MEETING
Place of Presentation
アメリカ, ニューオリンズ
Year and Date
2016-11-19 – 2016-11-22
Int'l Joint Research
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