2016 Fiscal Year Annual Research Report
階層構造および教育制度の変化が世代間移動に与えた影響-インドネシアを事例に
Project/Area Number |
16J00036
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
島田 健太郎 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
|
Keywords | インドネシア / 中等教育 / 自立的学校運営 / 比較教育学 / 地方分権化政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、現地に行き、調査可能性や今後の分析枠組みについて検討した。同調査は「自立的学校運営制度を実施している学校が、資金をどう教育活動に活用しているか」という観点から、2016年10月に一週間ジャカルタとバンドンで実施された。 研究実施者はジャカルタにおいてインドネシア教育文化省教育政策研究所の研究員と会い、今後の研究の方向性やフィールド調査実施にあたってのアドバイスを頂いた。研究実施者は、公立と私立の中等学校それぞれ1校ずつ訪問し、学校設備及び授業の視察を行った。そして、校長や教員数名に対してインタビュー調査を行った。同様に、バンドンではインドネシア教育大学の教授やスタッフのサポートを得て、公立と私立の就学前教育実施校と小学校、中学校をそれぞれ1校ずつ視察した。 調査の結果、学校財務データは入手可能であること、地方分権化以前・以降の比較分析は再考の余地があること、そして、学校の財政や運営体制のみに固執せず、学力格差の実態や是正策など、包括的な政策レベルの取り組みについて検証する必要性があると考えるに至った。 ある程度の進展が見られたとするもう一つの理由は、比較教育学の学術的関心事や、各地域ごとに異なる教育システムを考慮する分析の視点について幅広く学び直す機会を得たことである。受入研究機関において、分析の観点や最新の研究動向について、比較教育学政策講座の先生や大学院生の方々と研鑽する機会を得た。そして、日本比較教育学会、アジア教育研究会、比較国際教育学会に参加し、他の研究者の方々と交流を深め、今後の共同研究の可能性や様々な情報交換をすることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
博士論文の一部が2016年に出版物となった。今後の成果についても期待される。 インドネシアに行き、インドネシア教育大学や教育省文化省において、研究協力者とのネットワークを作ってきたこと、そして学校での調査を行い、研究の方向性や今後の分析の方向性について固まってきた点が上記の区分にした理由である。 また、当該研究課題を進めるにあたって、比較教育学の理論や最新の知見を深めたことで、更なる研究の進展が期待される。
|
Strategy for Future Research Activity |
博士論文の中で未発表の分析について、加筆・修正し、雑誌に投稿する。そして、それらをまとめて本として出版する予定である。博士論文の内容と当該研究の分析の枠組みについて関連性があるため、当該研究の進展のためにも必要である。 現地での調査に備えて、まずは手元にある学力調査、家計調査のデータで先に分析を行い、それぞれ論文を投稿する。その分析で明らかにできなかった点について補足的に現地調査を行う。
|